口座も、開設数を原則1人1口座としており、1年ごとに口座を開設しなければならないというようなことはなくなっています。

――それなら、少額投資を長い期間にわたって続けられますし、毎年の口座開設の煩雑さもなくなりますね。

実際、英国でも、ISAが広がり始めたのは、制度導入から5年目以降だったのです。

従いまして、現行のものだと、導入期間が3年ですから、非課税の恩恵も受けにくく、リスクの低い商品を選ばざるをえないといったことになりかねません。

また、現行のままだと、口座開設は非常に煩雑なものとなっていますので、金融庁の要望のように開設数を原則1人1口座となると、そういった煩雑さがなくなるのも事実です。

――要望が通るのと通らないのとでは随分ちがいますね。

金融庁の要望については、平成25年度税制改正大綱に向けた議論が、これから行われる予定となっています。

――いずれにしても、「日本版ISA」は2014年から導入されるわけですが、例えばどういった活用法が考えられますか?投資経験者にとっては、大変有利なものと実感してもらえるのは確実ですし、投資未経験者にとっても、「非課税」というのは、大変魅力的だと思います。

現在日本では年配の方に資産が偏っている傾向にありますが、例えば贈与税の基礎控除が110万円ありますので、その枠を利用して、高齢者の方からお子さんやお孫さんに、毎年100万円ずつ資産移転することができます。

ただし、お孫さんは20歳以上である必要があります。

また、金融庁の要望が通れば、非課税期間が事実上無制限ですから、いろんな選択肢が考えられます。

株式や株式投信だけでなく、「J-REIT」や「ETF」など、少しリスクをとった商品でも選びやすくなるのもその一つです。

――この記事を通じて、ぜひ、「日本版ISA」について知っていただきたいですね。

何も知らないままでの取材にも丁寧に応じていただき、本当にありがとうございました。