あったあった! 一世を風靡したベストセラー




「歌は世につれ、世は歌につれ」などと言われます。流行歌は世情をよく表わしているという意味ですが、流行本もまたそうではないでしょうか? 「あったなあ!」と思わず懐かしんでしまう、100万部突破のミリオンセラー本を挙げてみました。



●『徳川家康』著:山岡荘八



1962年のベストセラーです。現在では信じられないかもしれませんが、徳川家康の伝記小説が100万部を突破した時代があったのです。この小説は昭和25年〜昭和42年まで、なんと18年に渡って連載されました。日本中に徳川家康ブームを巻き起こしたのです。



●『HOW TO SEX』著:奈良林祥



身も蓋もないタイトルですが(笑)、1972年に刊行された奈良林祥先生著のこの新書本は、下は中学生(ダメですけどね)、高校生〜大学生など、若者を中心に大ヒットしました。なにせネットも何もない時代、SEXに関する知識を真正面から扱った本書は性に関するバイブルになりました。累計300万部を突破したとされています。現在では新装版が刊行されています。



●『ノストラダムスの大予言2』著:五島勉



1974年に刊行されたミリオンセラー。前作『ノストラダムスの大予言』の続刊で、1999年に世界は滅ぶという「終末思想」を日本中に植え付けました。当時の小学生は「この先どうなっちゃうんだろうなあ」と不安に駆られたものです。1999年には何も起こらず、ノストラダムスはすっかり過去のものになり、今は「マヤの暦」にそのお株を奪われています。それも今年いっぱいですが(笑)。



●『天中殺入門』著:和泉宗章



1979年に日本中に天中殺ブームを巻き起こした1冊。占学的な内容はともかく「天中殺」は「ついてない」ぐらいの意味であちこちに使われました。



●『スーパーマリオブラザーズ完全攻略本』著:ファミリーコンピュータマガジン編集部編



1986年に刊行されたミリオンセラーの攻略本。今までにないタイプのベストセラーということで大注目を集めました。ちなみに『ファミリーコンピュータマガジン』は徳間書店から刊行されていたゲーム雑誌で、『ファミ通』(当時はファミコン通信)のライバル誌でした。



●『サラダ記念日』著:俵万智



1987年に刊行され、歌人・俵万智の名を一躍有名にした1冊。その現代的な感覚、ライトな感じで、口語短歌の魅力を伝えたとされます。まさか(しかも処女作)歌集がミリオンセラーになるとは作者でさえ思わなかったのではないでしょうか。



●『ゲームの達人(上・下)』著:シドニー・シェルダン



1988年に「超訳」というキャッチコピーで、上下巻でなんと700万部を達成した小説。アメリカではテレビドラマ化もされました。



●『ノルウェイの森(上・下)』著:村上春樹



1988年に刊行された村上春樹の大ベストセラー。思春期にこの本に出会い、すっかり村上春樹にやられてしまった人は数多いことでしょう。ちなみにビートルズの『Norwegian Wood』をノルウェイの森と訳すのは間違い。これは、言葉上は「ノルウェイ製の家具」などと訳すのが正しいのです。とたんに楽曲のタイトルとして情緒がなくなるのですが(笑)。



●『愛される理由』著:二谷友里恵



郷ひろみと結婚した二谷友里恵が1990年に発表したエッセイ。この後、2人は1998年に離婚。同年、郷ひろみは色んな意味で傑作な『ダディ』を世に送り出します。今見ると、なぜこんな自信満々なタイトルなのかは疑問です(笑)。



●『もものかんづめ』著:さくらももこ



1991年に刊行された、漫画家・さくらももこのミリオンセラー。『ちびまるこちゃん』はすでに大ヒットしていましたが、その作者が満を持して執筆したエッセイとして注目を集めました。ちなみに、さくらももこは1992年刊行の『さるのこしかけ』、1993年刊行の『たいのおかしら』もベストセラーになっています。



●『遺書』著:松本人志



1994年刊行された、ダウンタウンの松本人志が書いたエッセイ集です。ダウンタウンは当時人気絶頂で、松本人志はお笑いのカリスマとして圧倒的な支持を集めていました。松本人志は翌年刊行の『松本』でもミリオンセラーを達成しました。



●『猿岩石日記(1・2)』著:猿岩石



アポなし取材、芸人の世界紀行で大人気だった日本テレビの番組『進め電波少年』から生まれたミリオンセラー。番組内で行なわれた、猿岩石(有吉弘行と森脇和成のコンビ)による世界紀行の日記で、1996年刊行。この後、猿岩石は解散しました。しかし、有吉弘行はピン芸人として華麗に復活したのです。



●『ハリーポッターと秘密の部屋』著:J.K.ローリング



2000年には記念すべきハリー・ポッターシリーズの第1作がミリオンセラーを達成しました。作者に直接交渉して日本における版権を獲得した静山社は一躍脚光を浴びました。



●『プラトニック・セックス』著:飯島愛



飯島愛の赤裸々な告白本がミリオンセラーになったのは2000年。そのあけっぴろげな性格と美貌で人気者だった彼女はこの8年後、36歳で逝去しました。



●『「捨てる!」技術』著:辰巳渚



2000年には「ライフスタイルへの提言」のこの本がミリオンを達成しました。失われた10年と呼ばれる長引く経済的停滞の末、新世紀へ向かう20世紀最後の年にこの本が出たのは、今から思うと結構象徴的だったのかもしれませんね。



21世紀になってからのミリオンセラー本は近すぎて「あったあった!」にならないかも……なのであえて取り上げませんが、1冊だけ、すごく最近刊行されたのに、すでになかったことになってそうな本があります。それは……。



●『KAGEROU』著:齋藤智裕



芸能人・水嶋ヒロが齋藤智裕名義で執筆、2010年に刊行されたこのベストセラーほど、ヒドイ目に遭った作品はないでしょう。ポプラ社の第5回ポプラ社小説大賞受賞作ということで大々的に喧伝され、水嶋ヒロが大賞の賞金を辞退するなどのドタバタが起こり、刊行前にすでに「悪評」が伝わっていました。刊行後にはamazonのレビュー欄が瞬時に炎上。それは今でも続いています。2012年7月10日現在、総レビュー数753件のうち★1つが318件、★2つが159件という低評価。ここまでの低評価を食らったベストセラーはちょっと見当たりません。





(高橋モータース@dcp)