「創造的」なものと「模倣的」なもの、仕事のタイプを2つにわけるとすれば、これらがあげられます。新しくて独創的な発想が求められる「創造的」な仕事と、確実に業務を進める「模倣的」な仕事。これらは対極として考えられており、創造的な仕事が得意な人は模倣的な仕事が苦手とされており、逆もまたしかりとされています。

 しかし、書籍『クリエイティブの授業』を読んでいると、どうやら、これらはそう遠い関係ではないようです。

 「芸術とは盗むことだ」

 こう言ってのけたのは、偉大な芸術家であるパブロ・ピカソです。

 「未熟な詩人はまねるが、熟練した詩人は盗む。無能な詩人は盗んだものを壊すが、有能な詩人はより優れたもの、少なくとも違うものへと変える。つまるところ、有能な詩人は、盗んだものを盗む前とはまったく異なる、独特な雰囲気に変えてしまうのだ」

 こちらは、イギリスの詩人、T.S.エリオットの言葉です。

 いかがでしょうか、「創造的」なものはすべてオリジナルでないといけない、そう考えていた人にとっては、「え? 違うの?」と拍子抜けする言葉かもしれません。実は、1から10まで全てを「創造的」に仕事をすることは不可能なようです。そう考えると、肩の荷が下りませんか?

 さらに、小説家のジョナサン・レセムは、「何かを"オリジナル"と呼ぶやつは、十中八九、元ネタを知らないだけなんだ」と後押しします。つまり、その世界で活躍するクリエイターと呼ばれる人たちは、世の中に"100%オリジナルなもの"なんて存在しないことを知っているのです。皆、何かからヒントを得て、自分のモノに置き換え、創造しているのです。

 完全なる模倣とは意味が異なりますが、"100%オリジナルなもの"にこだわる必要はないようです。

 「創造的」な仕事をする人にとっては、勇気の沸く先人達の言葉であり、「模倣的」な仕事をする人にとっても、自分の可能性を広げる言葉になったのではないでしょうか。盗んだものを自分のカタチに落とし込むことが楽しめるようになれば、クリエイターの素質があると言えるでしょう。



『クリエイティブの授業 STEAL LIKE AN ARTIST "君がつくるべきもの"をつくれるようになるために』
 著者:オースティン クレオン,Austin Kleon
 出版社:実務教育出版
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