建設・農業機械のクボタが、社員の退職後、年数に関係なく復職できる制度を始めたと報じられ話題となっている。ただし、勤務経験が1年以上あり、出産や育児、介護や配偶者の転勤を理由に退職した元社員のみ。

正式名称は「リ・エントリー制度」。復職したい人は中途採用希望者として会社に登録しておき、求人が出たときに必要なスペックを満たしている場合、面接を経て採用される。雇用形態は「正社員」を想定している。


「自社の慣行に精通していること」も価値になりうる


クボタ広報によると、私生活上の理由から会社を退職した元社員から、会社に戻ってキャリアを再開したいという希望が寄せられていたという。会社としても、勤務経験で培った能力の高い人材であれば歓迎したいというニーズがあった。


新卒一括採用、終身雇用を前提とした一般的な日本企業では、いちど外に出ると再び社に戻ることができない会社がほとんど。近年になって退職後の再雇用制度を導入する企業が増えたが、退職後の年数を問わないケースは珍しい。


夫の海外転勤で野村證券を退職した中川順子さんが、野村初の女性の執行役・CFO(財務統括責任者)に就任した際には、大きな話題となった。


ただしクボタの場合は、転職を理由に退職した人は対象外だ。また、希望すれば必ず復職できるとは限らず、あくまでも求人の応募要件にあった人のみである。


それでも、同じような職務経験やスキルの人が並んだ場合、元社員の方が社内の事情に詳しく会社に慣れるのも早いので、社員からは歓迎されるかもしれない。


雇用の流動化に関する議論では、「どの会社でも通用する知識やスキル」が重視され、特定の会社の慣行に精通していることは軽視されがちだ。しかしクボタの場合には、会社独自のやり方を知っていることが、ひとつの価値として認められる可能性がある。


他の会社でも手っ取り早く「外の風」を取り込むために、退職理由を問わず「出戻り大歓迎」の看板を掲げるところが出てきてもいいのではないだろうか。