鹿児島ラーメンは黒豚こってり系ではなく、あっさり系の歴史がある

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黒豚で有名な鹿児島。

当然、ラーメンはこってりかと思いきや、意外にも昔からあっさり系が主流だという。

真偽のほどを確かめるため、早速、鹿児島へ飛んだ。

九州はこってり系ラーメンの聖地。

当然、黒豚料理が有名な鹿児島もこってり系だと思ったら大間違い。

地元の人に聞くと、昔から鹿児島ではあっさり系が主流だという。

また、みそ系も人気があるのだとか。

市内で自営業を営むコバさんは、あっさり系ラーメンを高校時代から毎日のように食べていたという。

「『のり一』というラーメン屋さんが、市内随一の飲食店街・山之口町界隈にあるのですが、私はここのラーメンで育ったようなもの。

当時は1杯50円でね、毎日のように食べていました」。

えっ、50円!? コバさんは現在61歳だそうで、「のり一」に通っていたのは昭和40年代。

ビールが120円、牛乳が20円という時代だ。

その時代に50円とはかなり安いではないか。

となると、現在の「のり一」の値段設定が気になるところ。

早速店にうかがったところ、ラーメン(中)がなんと300円ではないか! この値段でラーメンが食べられる店はそうそう他にないのでは? いただいてみると確かにあっさりした鶏ガラベースの味。

具は豆モヤシとチャーシューが2枚。

麺は自家製の中太ストレート麺で、うどんのように白い。

ただ、お店の方に聞くと、かんすいは入れているとのこと。

また、スープには隠し味としてトンコツスープを加えていると教えてくれた。

● Information のり一 鹿児島市山之口町9-3 神川ビル1F コバさんがもう1軒おすすめしてくれた店がある。

昭和25年(1950)創業の「こむらさき」だ。

ここのラーメンの特徴は、キャベツやシイタケが乗っていること。

麺は中太のストレート麺で、やはりうどんのように白い。

スープは濁りがなくあっさりしている。

二代目の橋口芳明さんに話をうかがうと、ラーメンは食事のひとつとしてとらえているため、栄養バランスを考えてキャベツなどを乗せているのだとか。

また、麺はかんすいを使わず、一度蒸したものを使用。

濁りがないスープは、トンコツのみならず鶏やシイタケなども使って取っているという。

かなり個性的なラーメンだが、いただいてみるとあっさりした味わいで麺ものど越しがいい。

キャベツや麺、スープが調和していて、どれかひとつでも欠けていたらこの味にならない完成形といえそう。

黒豚を使ったチャーシューもおいしく、リピーターが多いというのもうなずける。

● Information こむらさき 鹿児島市東千石町11-19 最後に紹介するのが、鹿児島のラーメンを語る上で忘れてはならない「のぼる屋」だ。

創業は昭和22年。

鹿児島で一番古いラーメン屋で、メニューはラーメンしかない。

店を訪ねると、建物が昭和の雰囲気を色濃く残していていい感じ。

映画『ALWAYS 三丁目の夕日』の世界にいざなわれるようだ。

店内はカウンターのみで、その向こうに大きな羽釜が3つほど並んでいるのが印象的。

店内では、年配の女性5人が働いている。

陣頭に立つ徳重和子さんに話をうかがうと、同店は、横浜で看護師の仕事をしていた故・道岡ツナさんが創業したという。

中国人の患者から看護のお礼にと教わった中華そばを、戦争で焼け野原となっていた故郷・鹿児島で出そうと始めた。

そのせいか、この店のラーメンは中華そばに近いという。

早速、運ばれてきたラーメンを見ると、スープは茶褐色。

具は、長方形に切られたチャーシューと豆モヤシだ。

麺は細いうどんのような面持ちの白い中太麺で、自家製。

かんすいは使わず、その日売れる分だけを作っているのだそうだ。

まず、スープを飲んでみると、おお、あっさりしている。

聞けばトンコツを主体としているそうだが、鶏ガラや魚介などもミックスさせているそうで、しっかり深みもある味だ。

そのスープに中太麺がよく合うし、豆モヤシも味のアクセントになっている。

この味はやはりのぼる屋でしか楽しめない個性的なもので、店の雰囲気もおいしさを後押ししているようだ。

● Information のぼる屋 鹿児島市堀江町2-15 こうしてみると、「のり一」にも「こむらさき」にも「のぼる屋」の影響が感じられるが、それぞれの店でアレンジされ、独特の味を作っているのが分かった。

しかし、白いうどんのような麺であることは共通している。

これは鹿児島独特のものなのだろう。

トンコツ系にありがちな細麺を食べ慣れた舌には新鮮に感じられ、スープや具との相性もしっかりと堪能することができた。

鹿児島を訪れた際には、トンコツ派、しょうゆ派という方にも、一度はこのラーメンを食べてみていただきたい。

未知なる味との出合いによって、味覚に磨きがかかること請け合いである。