中越典子
 学園のトラブルを次々に解決し、生徒や職員、PTAからの信頼も厚い“教師の鑑”蓮実聖司。その素顔は、生まれながらにして他人への共感能力を欠くサイコパス(反社会性人格障害)だった――。「海猿」で国民的ヒーローを演じてきた伊藤英明が一転、最凶最悪の殺人鬼を演じる『悪の教典』が11月10日に劇場公開される。その映画と対をなし、凶行前夜の日常に潜む見えざる悪意を描いたオリジナルドラマ『悪の教典―序章―』が、映画にさきがけてdマーケットVIDEOストア powerd by BeeTVに登場。本作で不運にも蓮実聖司と出会ってしまう新任スクールカウンセラー・水落聡子役を演じた中越典子に“本当の悪”について話を聞いた。

――まず、本作の脚本を読まれての感想は如何でしたか?

中越:原作はとんでもない本で、でもすごく面白いという話を聞きまして、「こういうものが世に出ていいのだろうか?」と不安に陥るような物語でした。BeeTVのドラマと映画の2つがリンクして、すごく緻密に、深く描かれていて。原作にどれだけ追い付けるか、追い越せるか、如何に寄っていけているか分かりませんが、危険な作品ですよね。

――中越さんご自身が、その問題作に出演することについてプレッシャーに感じることはなかったですか?

中越:私はもう目の前のことを必死にやるだけで、この作品に出ることで世の中がどうなるとか、自分がどう思われるとか、何を提示したらいいとか、どう思えばいいとか、あまり客観的な目線を持たずに、一役者として役と向き合って、一緒に作らせてもらいました。深く考え始めたら切りがないぐらい、怖い話じゃないですか。現実にも起こり得る恐怖もあるし、実は知らない所でいっぱい起きてるかもしれない。でも、そういうものが作品として、世の中にこうして打ち出されていくという。それを期待している人がいて、楽しんで観る感覚もあって、人間って不思議で面白いなと思います。

――今回のBeeTVと映画とのコラボレーションについて、どのように思いますか?

中越:すごく画期的だと思います。私は普段スマートフォンでミュージックビデオとかは観たりするのですが、映画は劇場のスクリーン派で、あまり観たことがなかったんです。でも今回『悪の教典―序章―』を観て、あなどっていた訳じゃないけど「ごめんなさい!」という気持ちになったぐらいクオリティが高かった! スタッフさんも映画と同じ方々で作られたのもあって、ドラマでもみんなの情熱をすごく感じました。1シーンの画にしてもすごく美しかったり、不気味だったり。階段一つでも、光と影とかが怖かったり。本当にクオリティが高くて、映画に対する期待もすごく湧きました。4回に分けて観るのがもどかしいぐらいに面白くて、すごく良いなと思いました。

――中越さんが演じた、新任スクールカウンセラー・水落聡子という人物についての印象は如何ですか?

中越:水落さんは、世間を知らないまま消えてしまったんだろうなという、とても可哀想な女性でした。「もしかしたら、この人が私の白馬の王子様なんだろうな」と期待していた所を肩すかしで裏切られて、もっと色々な世界を見られたら良かったのに。結局「自分らしく生きられた時間があったのかな?」と思うと、多分無かったんですよね。それなりに楽しい人生を送ってたかもしれないけど、もっとこれからすごく明るく広い未来に向けて、想像がいっぱい膨らんでいたのに、もう不意打ちですよね。人生は何が起こるか分からないから、殻に閉じこもらないで、必死に生きておくべきですね。

――中越さんご自身とは違いますか?

中越:違いますね。私は自由奔放です。でも人の目をめちゃくしゃ気にする神経質で複雑な人…難しいタイプだと思います(笑)。

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