航空トリビア (22) CAは「スマイル0円」ではない

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少し前の話になるが、スカイマークが公表した「サービスコンセプト」が物議をかもしたことがあった。

正確には「スカイマーク・サービスコンセプト」と題した文書が機内に置かれ、「スカイマークでは従来の航空会社と異なるスタイルでサービスをしております」という書き出しで、8つの項目に分けた宣言がされていた。

内容を一部紹介すると、「1 お客様の荷物はお客様の責任において収納をお願いいたします。

客室乗務員は収納の援助をいたしません」「5 客室乗務員の私語等について苦情を頂くことがありますが、客室乗務員は保安要員として搭乗勤務に就いており接客は補助的なものと位置付けております。

お客様に直接関わりのない苦情についてはお受けいたしかねます」など、いわば「客室乗務員は保安要員」宣言ともいえるものだった。

ただ、実際に何度かスカイマークに乗って取材してみると上部の棚に収納しきれなかった乗客の荷物は客室乗務員が他の棚に持って行ってあげていたし、私語もまったくと言っていいほどなかった。

当時はエアアジア・ジャパンやジェットスター・ジャパンなどの外資系の低コスト航空会社(LCC)が就航前で、日本ではLCCが一般的ではなかったこと、それに読む側の気持ちを考えていない表現が多すぎることなどで、反感を呼んだようだ。

実際、海外にはスカイマークよりもずっとサービスの質が悪い大手航空会社が山のようにある。

日本では長くJALやANA、あるいはそれら大手系の航空会社に近いサービス方針で運航する新興の航空会社しかなかった。

しかし、スカイマークを除き、新興航空会社は自力での営業を諦め、生き残りのために大手との共同運航を選択した。

新興航空会社は運賃を安くし、一方で大手に肩を並べるサービスの二兎を追ってしまい、経営が行き詰まったのだ。

LCCのように安さにこだわるか、大手のようにフルサービスキャリアとして運航するか。

世界でうまくいっているエアラインは、そのどちらかに分類されると言っていい。

私たち乗客は、LCCや運賃の安い航空会社にもついつい笑顔や感じのいいサービスを求めてしまう。

しかし、そうしたサービスを徹底するには訓練が必要だ。

つまり、「予算」がかかる。

例えばサービスの良さで名高いシンガポール航空。

このエアラインは、乗客から接客についてクレームがついた客室乗務員に訓練のやり直しをさせることがある。

その場合、欠員が出るわけだから違う客室乗務員を搭乗させなくてはいけない。

つまり、人件費が上乗せされるわけだ。

航空業界の競争は激しい。

日本国内にもLCCが続々と誕生して、その波がやってきた。

安い運賃で接客態度には目をつぶるか、その逆である程度の運賃を払って上質なサービスを受けるか。

2つに1つを選ぶ時代になった。

ただ、エアアジア・ジャパンのように、上質なサービスというより「フレンドリーさ」のような接客をするLCCが出てきて、新しい潮流も生まれているのも、またおもしろい展開ではある。