生保・損保編

業界トレンドNEWS Vol.148

生保・損保編

人口減少、車離れ…と厳しい状況にあった生保・損保業界で総保険収入料が持ち直している要因は?


■「銀行窓販」拡大で保険料収入は回復傾向。アジア進出を狙ったM&Aが急加速している

ここ数年、生保・損保業界では業界地図を塗り替える出来事が頻発した。損保業界では国内企業の合併により、MS&ADインシュアランスグループホールディングス、東京海上ホールディングス、NKSJホールディングスという「3メガ」体制が完成。また、生保業界ではプルデンシャル・ファイナンシャルグループ傘下のジブラルタ生命保険によるAIGエジソン生命保険・AIGスター生命保険の吸収合併、AIGグループだった現メットライフアリコ生命保険のメットライフグループ入りなど、外資系企業の動きが活発だった。こうした動きを経て、現在、業界再編は一段落したところだと言える。

人口減少による契約者減、不況、「車離れ」による自動車保険の不振などにより、近年の生保・損保業界は縮小傾向に陥っていた。しかし、ここ数年は持ち直しの兆しが見え始めている。

社団法人生命保険協会によれば、同協会加入43社の11年度における総保険料収入は36兆2890億円。対前年度比で5.3パーセント増だった。原動力となっているのは、銀行窓口を通じた保険の販売、いわゆる「銀行窓販」だ。01年4月に改正保険法が施行され、一部の保険が銀行窓口で販売可能になってから、02年10月、05年12月と窓販の対象商品は段階的に拡大。そして、07年12月にすべての保険商品が銀行で取り扱えるようになった。これに伴い、銀行窓販による生命保険の販売額は順調に拡大している。また、医療・介護保険などの「第三分野」(保険業法上、生命保険は「第一分野」、損害保険は「第二分野」とされる)も好調。健康保険の対象外となる「先進医療」をカバーする保険や、介護費用の自己負担額をまかなう保険などに注目が集まっている。

一方、社団法人日本損害保険協会によると、同協会加入26社の2011年度における総正味収入保険料(損保会社が保険契約者から受け取った保険料から、保険契約者に払い戻した解約返戻金、積立型保険の貯蓄部分の保険料を引き、さらに他社とやりとりした再保険料を足し引きした額のこと)は7兆1161億円。対前年度比で2.1パーセント増だった。こちらは銀行窓販の拡大に加え、東日本大震災を機に地震保険への加入者が増えたこと、エコカー補助金が追い風となって自動車購入者が増加し、自動車保険の販売が伸びたことなどが要因として挙げられる。

ただし、少子高齢化によって国内市場が頭打ちになっている状況は変わっていない。東日本大震災やタイの大洪水のように多額の保険金支払いが求められるケースも、今後十分に起こりうるだろう。また、インターネットや電話を使った「直販型保険会社」も、既存の生保・損保にとって脅威だ。直販系損保大手8社(ソニー損害保険、アクサ損害保険、三井ダイレクト損害保険、チューリッヒ保険、アメリカンホーム保険会社、SBI損害保険、そんぽ24損害保険、イーデザイン損害保険)の総正味収入保険料は、09年度が2388億円、10年度が2481億円、11年度が2692億円と着実に増加。直販系生保も好調で、低コストを武器にシェアを拡大しつつある。そこで大手各社はコスト削減による収益力強化を図る一方、加入者へのサービス向上で直販系企業との差別化を目指している。例えば、東京海上日動火災保険や日本生命保険では、タブレット端末やパソコンの画面上で保険内容の説明・保険料の試算・契約手続きなどをわかりやすく簡単に行える仕組みを導入。IT化による顧客の利便性向上と、業務効率化への努力は、今後も盛んに行われるだろう。

海外展開も、各社にとって重要な課題だ。特に目立つのが、アジア・オセアニア地域への進出。下の表で紹介しているように、インド、マレーシア、インドネシア、オーストラリアなどでのM&Aが続いている。ほとんどの企業が海外事業の拡大を強力に打ち出しており、グローバル人材へのニーズはさらに高まりそうだ。