ソニーは19日、本社および国内のエレクトロニクス事業の構造改革を加速するため、一部の製造拠点の再編と人員削減を含む新たな施策を決定したと発表した。

 ソニーは現在、完成品の製造オペレーションについて、量産工程における海外製造拠点及び外部委託先を活用する割合が増える中、生産規模に応じた製造拠点の統廃合や更なる業務効率の向上に取り組んでいる。そのような中、今回、国内製造拠点の統廃合を進める施策の一環として、ソニーイーエムシーエス美濃加茂サイト(岐阜県美濃加茂市)を2013年3月末をもって閉鎖することを決定した。

 具体的には、デジタルイメージング事業の製造オペレーションの一層の効率化を目的とし、ソニーイーエムシーエス美濃加茂サイトで行っている交換レンズやレンズブロックの生産をソニーイーエムシーエス幸田サイト(愛知県額田郡幸田町)に集約する。また、携帯電話事業をスマートフォンへ集約する中で、美濃加茂サイトで行ってきた携帯電話に関する一部の業務を終了し、一部をソニーイーエムシーエス木更津サイト(千葉県木更津市)に移管する。これらにより、美濃加茂サイトは2013年3月末をもって閉鎖する予定。

 また、人員リソースの最適化を実施するにあたり、社員の社外への転進を支援するための早期退職支援プログラムを実施する。同プログラムは、ソニー及びソニーイーエムシーエスなど主要な国内エレクトロニクス系連結子会社を対象とし、2012年度内に合計約2,000人の人員削減を見込む。このうち、およそ半数の約1,000人は本社を含む間接部門の人員を見込んでいる。

 ソニーの本社部門においては、機能の統合や組織の簡素化を重点的に進め、今後実施する早期退職支援プログラムとリソースシフトを組み合わせることにより、今年度中に約2割の人員削減を計画している。また、収益改善施策を継続的に進めているテレビ事業を含むホームエンタテインメント&サウンド事業本部においては、既に実施した人員の社外への転進及びグループ内へのリソースシフトにより、2012年10月末までに約2割の人員減を予定している。なお、2012年9月末に完了したケミカルプロダクツ事業の譲渡により、約1,800人がソニーグループ外に転出した。

 今回実施する施策に基づく人員削減と構造改革費用による2012年度連結業績への影響は現在精査中だが、既に発表している2012年度中の10,000人の人員減及び750億円の構造改革費用見込みに含まれており、同施策が2012年度の連結業績見通しに与える影響は軽微であると見込んでいるという。なお、2012年度の構造改革による2013年度以降の固定費削減効果としては年間約300億円と見込んでいる。