ゲームの中毒性は「若手社員をめぐるリスク」

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「人事はゲームぐらいやっておかないとダメだね!」

専門商社の人事部長、Tさんは苦笑いをした。昨年あたりから問題社員が続出し、原因を探っていたところ、ゲームの存在に突き当たったという。


ある社員は、カードの支払いができずに借金が膨らんでしまったが、そのきっかけはスマホゲームだった。別の社員は、寝不足で出勤したり寝坊で遅刻を繰り返していたが、オンラインゲームを夜通しやっていたことが分かったそうだ。


続出する社内トラブルの影に、ゲームあり?


また、ある社員は、上司が急な顧客対応の残業を頼んだところ、とつぜん激昂。「絶対にイヤです!」と叫んで反発したことから、フロアでは「何が起こったのか」と話題になったという。


「その話を聞いて、彼の同期社員に原因を尋ねたんだけど、またしてもゲームじゃないかと言うんだよねえ。驚いちゃったよ」

Tさんの聞き取りによれば、その社員は定時になるとすぐに椅子から立ち上がり、走って会社を出て、自宅でパンなどを片手に延々とオンラインゲームをしている。「ゲームしに帰らなきゃいけないから、残業はしないんだ」と決めているという。


この話には布石があり、この社員は以前にも面談で「残業をしたくない」と上司に伝えたことがあった。上司は、


「おまえな、ブルーカラーとホワイトカラーのいいとこ取りをしようとしてるだろ。そうはいかねえんだよ。残業がイヤなら、工場のバイトに切り替えてくれ!」

と言って許さなかった。そのことを社員が人事に訴えてきたことがあったのだ。


Tさんは、立て続けに起こった問題とゲームが、本当に関係あるのか確認したくなった。そこでスマートフォンのゲームで評判のいいものを紹介してもらい、試しにダウンロードしてみた。すると、自分も見事にハマってしまったという。


「気がついたら朝になっていた。お金も使ってた」


「いやあ、ビックリしたよ。金曜の夜に軽い気持ちで始めたんだけど、気がついたら土曜の朝になってたんだ。お金も使わないと決めていたのに、2000円近く使ってたし。すごいねえ、いまどきのゲームっていうのは」

その後も、もうやめようと決めたのにもかかわらず、トイレの個室で30分以上やってしまったり、危うく通勤電車を乗り過ごしそうになったりした。


「やばいやばい、40過ぎて新しい遊びを覚えたら危ないと言うけど、ホントにそうだ。もうアプリを削除したから大丈夫だけどさ。育てたモンスターたちを全部捨てるのは勇気がいったよ」

短い期間だが自分でもゲームをすることで、「若手社員をめぐるリスク」の一端を理解できた気がするという。ゲームには強い中毒性があり、かつて社員が二日酔いで遅刻したり、アル中の借金まみれになることと、かなり近いのではないか。


そう考えないと、単に「あいつ何やってるんだ?」と理解できず、実効性ある対応ができないという。また、人事だけでなく管理職も試してみれば、というが…。


「ゲームには日常にはない達成感があるからね! ワケのわからない上役もいないし、強いストレスに囲まれている管理職はハマリやすいかも。こっちの世界に戻ってこられなくなったらマズイから、やっぱり人事からは推奨できないかな」