『ありがとう3組』

写真拡大

小学6年生らのがんばりに涙、そして手と足がない先生の奮闘にも涙――『五体不満足』の著書で知られる乙武洋匡さん(36)が小学校を舞台に描いた小説の続編が出た。『ありがとう3組』(講談社、1470円)。卒業までの1年間の子どもたちと「先生」の心温まるふれ合いを描いている。

前作の『だいじょうぶ3組』は、乙武さんが東京都の小学校教諭を務めていたときの経験をもとに書いた初の小説だ。映画化(東宝系)され、2013年3月に公開予定。乙武さんも、手足がほとんどない教諭「赤尾慎之介」役で出演する。赤尾先生のサポート役として登場する主演は、人気グループTOKIOの国分太一さん。

「おねしょ事件」とは?

本作では、「3組」のみんなが6年生に進級する。担任は引き続き赤尾先生で、子どもらは大喜びだ。4月の始業式の日、クラスに転入生を迎えるところから話が始まる。この大柄な男の子は「発達障害の疑い」があり、クラスにさまざまな「波紋」を起こしていくが……。

子どもらは、運動会の組体操や合唱コンクールを通じて起きる「小さな大事件」を経験しながら、「他人への思いやり」や「がんばること」の大切さを学んでいく。中学受験をめぐる親子の葛藤や万引き、それに「おねしょ事件」などに直面する子どもらだが、持ち前の明るさとチャレンジ精神にあふれる赤尾先生と一緒に乗り越えていく。

さらに後半では、赤尾先生が悩むプライベート問題を解決しようと、クラスの数人が、ある「冒険」に挑む。

児童らや赤尾先生のがんばりに思わず涙してしまう場面が多くあるが、中には「保身」に走る同僚教諭らへの怒りを感じさせる箇所もある。あくまで「フィクション」だそうだが、筆者が教育現場で実際に感じたであろう問題点への厳しい視線も盛り込まれているようだ。

2012年10月3日、発売された。