川島 5.5 4ゴール奪われたが、防げたゴールはなし。川島の力はなにも反映されなかった。

長友 5.5 頑張っていた方の1人。やってやろうという前向きさは伝わってきたが、CKからネイマールに決められた3点目のシーンでは、なすすべなくやられた。CKをゴールの至近距離で楽々胸トラップされればさすがにやられる。もっとしぶとく食らいついて欲しかった。

今野 5.5 もう5センチ、高さがあれば。デキそのものはフランス戦同様悪くなかったが、守備組織が崩壊しスカスカになった終盤、パワー不足、迫力不足を露呈。彼にとって必要以上にい負担の大きな一戦になった。

吉田 5 ブラジルの4人のアタッカーに機動力で劣った。フットワークに課題を残した。

内田 4 最も活躍できなかった選手。主体的なプレイゼロ。彼にボールが渡っても何かが始まりそうな予感はせず。痛々しさだけが残った。

長谷部 5.5 試合勘を掴んだのか、フランス戦よりはずいぶんよかった。その割には早く替えられすぎ。ただ、いずれにせよ、遠藤、長谷部以外に使える守備的MFを作ることは急務。それを考えると、頭から他の選手(高橋とか)でも良かった。

遠藤 5 守備的MFとして重さに欠けた。フランス戦もそうだったが、マイボールの時間が短い試合、ボールを奪う必要が多い試合、つまり強者相手の試合になると、ひ弱さを感じる。巧さに加え、ボール奪還能力の高い選手、たとえば本田のような選手がここには欲しい。

中村 4.5 前回も述べたが彼には1トップ下は務まらない。身体の向きが正面を向いていないと、力が出ないタイプ。ドリブルもなければ、シュートもない。完全なるパッサーに半アタッカー役は無理。ミスキャストだ。

清武 4.5 見せ場はほとんどなし。個人で局面を打開したシーンはゼロ。力不足を露呈した。ポジショニングも悪ければ、ボールを持たない時の動きも悪かった。宮市との交替は90分。2試合続けてほぼフル出場するだけのものを見せたとは思えない。ザッケローニから評価されている理由が、よく分からない。

香川 5 背番号10番を特殊な能力の持ち主が付けるものだとすれば、それはあまりにも重かった。少なくとも相手と対等な関係になかった。長友、本田の方がやれていた。前回も述べたが、ボールがないときのポジション、動きが悪い。動きは切れているがクレバーではない。俯瞰で自分自身を冷静に見つめる目を持ちたい。

本田 6 唯一、相手と対等にプレイできていた選手。センターバック、守備的MFと4―2―3―1の「3―1」にもう1人、つまりあと4人本田がいれば、日本は強くなったと言えるのだが。

※交替選手
乾 5 プレイが全体的に雑で淡泊。プレイ全体に安定感と粘りが欲しい。シロかクロか。一か八か的なプレイに終始した。

酒井宏 4.5 試合に入っていけず。終始、相手に対して後手を踏み、サイドバックに不可欠な果敢さを少しも発揮できなかった。

宮市 ― 90分の交替はナンセンスの極み。虫干し同然の交替としかいいようがない。
栗原 ― 0―4の試合に、センターバックを90分に変える意味が分からない。

※監督
ザッケローニ 4 「2点をあっさり失い冷静さを失った。そうした状況で冷静さを失わず従来と同じ戦いができるかを見るいい機会だったが、選手は負けたくない気持ちからか、冷静さを失い本能的にプレイしてしまった」とは、ザッケローニの試合後のコメントだが、そこで手を打つのが監督本来の仕事なはず。あっさり2点リードされるような強者と戦ったことのない経験不足は、監督にも言えるのではないか。日本代表監督として弱者とばかり対戦している間に、その采配の腕は鈍ってしまったように見える。すっかり強者の監督になってしまったように見える。メンバー交替のアイディアが貧しい。なにより流れを変える交替がない。ザッケローニは、日本という弱者が本番で番狂わせを起こすために招かれた監督であるはずだ。自らのその基本的な立ち位置を、彼には思い出してもらう必要がある。チャレンジャー精神に溢れているなら、アイディアはもっと豊富でなければならない。後半、日本の戦いは、ハッキリ言って目茶苦茶だった。細やかさのない荒っぽいサッカーに終始した。0―4でよく済んだというのが実感だ。原点に戻るには良いチャンスだが、次に控えるのはオマーン戦。再び強者面で試合に臨むことになる。

 ちなみに同じ日に、W杯欧州予選でスペインとアウェーで対戦したフランスは、終了寸前、ジル―が劇的な同点ゴールを決め、1―1の同点に持ち込んだ。世界チャンピオンと好勝負を演じたわけだが、その姿は日本戦とは全く別だった。日本とのスパーリングマッチをいい踏み台にしていた。親善試合での敗戦をいい薬にしていた。デシャンとザッケローニの差を見た試合というべきだろう。

「本番ではブラジル、スペインと対等に渡り合えるチームになりたい。その差を今後、少しでも縮めるためにも強豪との試合を数多く組んでいきたい」と、ザッケローニは語ったが、その機会は間違いなく少ない。当面は、コンフェデレーションズ杯に限られている。

 残念ながら日本の環境は変えられない。ならばどうするか。ザッケローニは、先のイラク戦後、「W杯出場が決まるまで、新戦力を試すつもりはない」と言ったが、その考え方では先行きは暗い。そう思わずにはいられない。