モバイルを使って世の中を変える“総合サービス企業”へ

人事部長インタビュー Vol.35

株式会社NTTドコモ 睫攬賤気気

同社が目指すモバイルを核とした「真の総合サービス企業」とは?


■合弁会社の設立や事業提携により、国内外で新しい市場を創出

かつての当社の競争相手は通信事業者でしたが、1999年にiモードサービスが始まり、徐々に競争相手が変わり始めました。コンテンツという新しい概念が生まれ、通信事業者というだけでは生き残れない時代となったのです。コンテンツやサービスで勝負していく状況はこれからも変わらないでしょうし、国内はもちろん海外へも事業を展開していかなければなりません。

モバイルを核とした総合サービス企業への進化――これが、2020年に向けた当社のビジョンであり、その実現に向けて、産業やサービスとの融合を通じてイノベーションを起こし、新しい市場を創出していこうとしています。その取り組みの一つが、出資による合弁会社の設立やアライアンス(提携して共同で事業を行うこと)企業との協業です。

現在は、映像や音楽、書籍、ゲームといったさまざまなメディア・コンテンツとの融合による「メディア・コンテンツ事業」、モバイルの特性やクレジット機能などを活用した「金融・決済事業」、ネットショッピングや通信販売などの「コマース事業」、健康管理や受診・治療サービスなど健康・医療に関する「メディカル・ヘルスケア事業」などに取り組んでいます。

2012年7月には、オムロンヘルスケア株式会社と新会社「ドコモ・ヘルスケア株式会社」を設立。スマートフォンとオムロンヘルスケアの健康機器(体重体組成計・血圧計・睡眠計等)を連携させ、機器で測定した健康データ(体重・体脂肪率・睡眠時間等)を、簡単にクラウド上に蓄積・管理できる環境を整えています。オムロンヘルスケアは、インドや中国、ロシアといった海外での売上高が大きいので、そのネットワークを生かして、日本で構築したドコモのサービスをグローバルに展開していこうと考えています。

その他、ゲーム機やカメラ、ヘルスケア機器、自動車などの機器との融合に関する「M2M事業」(*1)、グローバル展開を中心とした「アグリゲーション・プラットフォーム事業」(*2)、園芸サポートやエネルギー使用ログを活用したサービスなどの「環境・エコロジー事業」、セキュリティや見守り、お預かりなどに関連する「安心・安全事業」にも注力。こうした取り組みにより、2015年度の新領域における収益は、11年度比約2.5倍の約1兆円を目指します。

しかし、こうして新しい市場を創出していく一方で、真の総合サービス企業となるためには、2010年ごろから続いているネットワークトラブルへの対処も非常に重要です。安定した収益確保のためには、お客さまの信頼を取り戻し、当社のサービスを安心してご利用いただけるようにしなければなりません。

(*1)Machine to Machineの略。機械と機械がネットワークを介してつながり合う仕組みや、その通信形態。

(*2)複数の企業が提供するサービスを集めて、一つのサービスとして利用できるようにすること。


■当社で活躍しているのはフットワーク軽く動きながら考えていける人

私自身の職歴をお話しすると、1982年に技術系採用で当時の日本電信電話公社(現:NTT)に入社し、無線エンジニアや無線のソフトウエア開発を経験した後、2年ほど郵政省に出向しました。その後、NTTから分社化したNTTコミュニケーションズの前身に戻ってPHSの立ち上げに携わりましたが、事業は軌道に乗らず、事業の揺りかごから墓場までを見届けることになりました。98年にNTTドコモに転籍し、M&A業務や商品企画、人事の技術系採用担当などを経て、2008年からは新規ビジネスを創出するフロンティアサービス部に異動。そこでは、有機野菜や無添加食品などの会員制宅配サービスを運営するらでぃっしゅぼーやとの業務提携などに携わり、再び人事に戻りました。

このように、当社にはいろいろな部署でさまざまな経験を積ませる風土があります。当時は、自分にキャリアの軸がないように感じていましたが、入社20年ぐらいたつと、バラバラだったパズルのピースがはまっていくのがわかりました。「いろんな経験を集めていくと、きちんと1つの形になる」ということを、あらためて実感しています。

事業提携を進める際、「NTTドコモと組むと、どんな新しい価値が生まれるの?」と必ず問われます。当社のモバイルとの融合によって生まれる新しい価値を相手にきちんと理解してもらえなければ、提携は実現しません。そのためには、まず自分自身がNTTドコモの事業全般を理解していなければなりませんし、その先には、相手を口説き落とすテクニックや、相手の立場や状況を理解した上で話をまとめていく交渉力や行動力も必要です。

若い人たちは、すぐに新規ビジネスに携わりたいと考える傾向にありますが、入社後すぐにこうしたプロフェッショナルになれるわけではありません。事務系社員の一例を挙げると、まずは販売代理店さまと協働しながらの携帯電話販売や法人・個人のお客さま対応といった、一見華やかには見えなくともドコモのブランドを支える非常に重要な仕事を経験し、いろいろな課題に一つずつ取り組んで経験を重ね、モバイルについての理解をしっかりと深めていってほしいのです。その途中では、私自身がそうだったように、自分のキャリアが見えなくて不安になることもあるでしょうが、何一つ無駄な経験はありません。異動先での限られた期間で「自分はこの仕事のプロになる」という思いで、仕事に取り組んでほしいと思います。

当社で活躍しているのは、フットワーク軽く、動きながら考えていける商社型の人。小さいハードルの先にはもっと大きいハードルが待っていますが、それをいとわず飛び越えていくようなタイプですね。行動する前にリスクばかり書き出す人がいますが、実際にやってみると、リスクだと思っていたことが案外そうでもなくて、まったく違うリスクが出てくることもあります。考え方を教えることはできても、行動力は言葉では教えることができないものだと私は思っています。

日本の移動通信事業を牽引していくのは当社であり、業界として発展していくために、移動通信事業全体を底上げしていく責任があると考えています。そのためには、当社が“憧れの企業”であり続け、優秀な人材をひきつけていかなければなりません。これからも、1人のユーザーとしてだけではなく、当事者意識を持ちながらドコモを好きになってくれて、「日本の、世界のモバイルビジネスをこうしたい」と思う人たちが増えていくことに期待しています。多くの若い世代が、モバイルを使って世の中を変えていくアイデアを持っていると思いますし、それを実現できるのが当社です。世の中を変えたい人、何かを創ってみたい人たちが力を発揮できる環境を、これからも提供していきたいと思います。