厚生労働省の「薬事工業生産動態統計年報」によると、平成23年の育毛液剤の生産金額は約279億円(22年/約298億円)、薬用シャンプー・薬用リンスの計は約298億円(22年/約276億円)。

化粧品分野では経済産業省の化学工業統計 によると、シャンプー・ヘアリンス・ヘアトリートメント・ヘアトニックの平成23年の販売金額は約2418億円で、平成22年の2338億円を上回る。内訳ではシャンプーとヘアトリートメントが対前年を上回り、シャンプー類に勢いがあることがわかる。

なかでも500万本を超える大ヒットを記録し、薄毛予防ニーズを捉えた薬用シャンプー『スカルプD』(アンファー)などはご存知の方も多いだろう。その影響もあり、シャンプー業界ではスカルプ(頭皮)ケアに注目が集まっており、化粧品メーカーやヘアケア用品メーカーからも“スカルプケア”をうたった商品の発売が相次いでいる。

 
■皮脂の取り過ぎには注意も必要

スカルプケアという言葉の認知度があがっている一方で、AGA(男性型脱毛症)・発毛治療を専門におこなう銀座総合美容クリニックの正木院長は、

「頭皮に意識がいきすぎて、必要な脂を根こそぎとってしまうことも。脂をとれば髪の毛が生えるというわけではありません。もともと、皮脂を含め、基本的に皮膚には必要ないものはありません。皮脂や常在菌などは、“あって当たり前”」

と警鐘を鳴らす。

長らくシャンプーは、女性用は髪の洗い上がり重視、男性用は脂をとることを重視して開発されてきたきらいがある。

「食器用洗剤で手が荒れたりしますよね。肌のバリアが壊れるためです。頭皮も皮膚なので、洗うものには気をつけなくてはいけません。本来は男性用も女性用もなく、頭皮と髪の毛は分けて考えなければならないのです」(正木院長)

手を洗う石鹸には、香りの趣味はあっても男性向け、女性向けというものはない。正木院長は、頭皮を正しく洗って“通常の”状態にし、その後髪の毛のケアとしてのトリートメントやコンデショナーは自分の嗜好で使えばよいという。

■肌にやさしいのは石鹸

正木院長は、発毛治療の病院ということで薬を処方するなかで、その人たちの毎日のケアとして、独自のレシピとしてシャンプーをつくり、カラーボトルに詰めて渡してきた。そんなニーズを受けて生まれたのが、石鹸でつくられたシャンプー「メソケア+(メソケアプラス)」だ。

「肌にやさしいものを突き詰めると、石鹸です。石鹸は古い脂だけをとり、肌に必要なものを残してくれ、皮膚の状態を守ります。実は、皮脂は足りなくなるほうが問題なのです」(正木院長)

「メソケアプラス」を企画開発した株式会社メソケアプラス・代表取締役社長の加藤彰氏は、

「石鹸シャンプーだけだと使いづらい。これまで石鹸シャンプーがいいということはわかっていても、髪がきしんだりするということで、ハードルが高かった。その悩みに注力する事で、泡立ちがよくてきしみにくいというものを開発した」

と説明する。実際、「仕上がりがゴワゴワしないので、セットが楽になった」「すすぎの時に髪が絡まないので、洗髪時の抜け毛が減った」との実感の声が寄せられており、抜け毛などに悩む人たちだけでなく、日常のヘアケアに対して意識の高い人たちからの評価に、確かな手応えを感じているようだ。

「できる限りパッケージなどはシンプルにし、詰め替え用もつくりました。毎日使わないと意味がないからです。安ければいいというものではなく、中身をいいもので、いかに低価格でお届けできるかを考えています」(加藤氏)

「髪で悩み過ぎると、本来やらなければならないことから、人生が逸脱するものです。今は医療が発達したため、軌道修正しやすくなりましたが、シャンプーは、毎日を“通常運転”するためのもの。悩んでいて仕事が手につかなくなったりしている人が、仕事に戻っていくという“人生の軌道修正”の一助となればと思います」(正木院長)