空運(旅客)編

業界トレンドNEWS Vol.147

空運(旅客)編

メガ・キャリアとLCCに大別される航空業界。経営体質の強化によってどう変化した?


■日本航空の復活、LCC参入加速により競争激化は必至。羽田・成田空港の発着枠拡大による影響に注目しよう

リーマン・ショック後は増加傾向にあった旅客需要だが、2011年3月の東日本大震災によって激しく落ち込んだ。しかし、震災から1年がたち、国際旅客・国内旅客共に震災前の水準まで戻りつつある。その結果、各社の業績も回復基調だ(下表参照)。

旅客需要は、同時多発テロやSARS(重症急性呼吸器症候群)の流行といった外部環境の変化により、大きな影響を受ける。現在も、ヨーロッパの金融危機や、それに伴う世界経済の失速が懸念材料として浮かび上がっているところだ。だが、各社はこうした逆境にも生き残れる経営体質の実現を目指し、コスト削減や自己資本比率の向上など、財務状況の改善に努めている。また、ホテル事業や不動産事業などを縮小し、「本業回帰」を進める動きも顕著だ。

現在、日本における航空会社は2つに大別できる。まずは、全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)といった「メガ・キャリア」(大規模航空事業者)。こちらは、利便性の高いチケット予約・購入サービス、豪華なラウンジなどの空港設備、充実した座席・機内エンターテインメントといった高付加価値サービスから、輸送に特化したリーズナブルなサービスまでを幅広く提供。また、幅広い路線網を持っている点も武器だ。一方、このところ注目を浴びているのが「LCC」(Low-CostCarrierの略。格安航空会社のこと)である。路線を絞り、機内食や荷物の持ち込みを有料にするなど、徹底的なサービス効率化によって低コストを実現。これまでよりずっと安い運賃を打ち出し、既存の航空会社のシェアを奪おうとしている。日系LCCの代表格は、ANAが出資しているPeachAviation(ピーチ・アビエーション)や、JALが出資しているジェットスター・ジャパンなど。外資系では、サウスウエスト航空(アメリカ)、ライアンエアー(アイルランド)、イージージェット(イギリス)といった企業がよく知られている。

東京国際空港(羽田空港)、成田国際空港の発着枠拡大は、航空会社にとって強力な追い風。大きな旅客需要を抱える首都圏で運行数が増えることは、業績拡大に直結するからである。羽田空港では、10年10月に新しいD滑走路が新設され、国際線ターミナルが拡充された。それまで年に37.1万回だった発着枠も、13年度中に44.7万回にまで引き上げられる予定だ。これに伴い、従来のアジア近距離路線だけでなく、アジア長距離路線や欧米路線などのビジネス路線も発着できるようになり、さらなる需要増加が見込まれている。また、成田国際空港でも、従来は年22万回だった発着枠を14年度中に30万回にまで拡大する予定。さらに、LCC専用ターミナルの建設なども検討されているとされる。両空港の動向については、関連ニュースをぜひチェックしよう。

ボーイング社の新型旅客機「ボーイング787ドリームライナー」にも注目しておきたい。この中型ジェット機は、炭素繊維素材を使った軽量部品の多用・エンジン効率の向上・空力の改善などにより、前世代の「ボーイング767」より20パーセント程度の燃費向上が実現できたとされる。旅客数の増加・燃料費の削減が期待できるほか、新規の長距離路線を開拓できる可能性もあるため、ANA・JALともに次世代の重要な航空機として位置づけている。