問題はプロセスに分解する −〜手強い相手を落とす「フレームワーク」入門−【3】ロジックツリー

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ライフネット生命保険副社長 岩瀬大輔(いわせ・だいすけ)
1976年、埼玉県生まれ。東京大学法学部卒。大学在学中に司法試験に合格。ボストン・コンサルティング・グループ、リップルウッド・ジャパンを経て、ハーバード経営大学院に留学。日本人では4人目となる上位5%の優秀な成績(べイカー・スカラー)を収める。卒業後、出口治明とともに準備会社の設立に参画し、副社長に。

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ロジックツリーは大きな概念を論理的に下位の概念に分解していく技術である。何らかの問題の解決策を考えるとき、漠然としたテーマのままではどこから手をつけてよいのか見当がつかない。そこで問題を小分けにして打ち手を考えていくことになるが、このような場面でロジックツリーは便利なツールである。

ライフネット生命を立ち上げた頃、「どのようにすればネットで生命保険が売れるか」について社内でじっくり話し合ったことがある。とはいえ、「売る仕掛けづくり」というテーマでは具体的に何をやればよいかが浮かばないし、浮かんだとしても思いつきにすぎず、漏れが生じてしまう。

そこで問題を次の4つに分けて考えることにした。(1)どうやってライフネット生命を知ってもらうか(2)知ってもらった後、どうやってウェブサイトに来てもらうか(3)サイトに来てもらった人に、どうやって申し込んでもらうか(4)申し込んでくれた人に、どうやって口コミしてもらうか

まず、当社を知ってもらうために、広告を出すことはもちろん、新聞や雑誌で取り上げてもらうための施策を考える。これがそのまま広報、PR戦略につながる。定期的な話題づくりに取り組んだり、私自身もブログ「生命保険 立ち上げ日誌」を開設し、情報発信を心がけた。

知ってもらったら、次に唯一の店舗ともいえるウェブサイトに来てもらうことである。検索しやすい画面にし、サイトのコンテンツを充実させることが必要だった。

ウェブサイトへの誘導ができたら、次はどうやって申し込んでもらうかである。この問題はさらに、(1)どうやって資料請求をしてもらうか(見込み客となってもらうか)、(2)どうやって申し込んでもらうか、の2つに分けてもよいだろう。

「保険商品は難しいから、営業マンから説明を受けないと申し込めない」と思っている人が多いようだ。そこで私たちはウェブサイト内に「目からウロコの保険塾」などのコンテンツを作成し、難しいというイメージの払拭に取り組んだ。

最後は、申し込んでくださったお客さまに口コミをしてもらい、さらにライフネット生命の認知度を高めるための施策である。お会いした方にメッセージカードを配ったり、ネット上で「志バナー運動」(ウェブページに当社へのリンクバナーを貼ってもらう)を展開したりした。

このように問題を適切に分割し、それぞれ具体的な課題に落とし込んで一つ一つ潰していけば、解決策も見つけやすくなる。ここで注意すべきポイントは、問題をモレなくダブリなく、網羅的に(MECE=Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)把握することだ。

たとえば(3)をもう一段階掘り下げてステップに分けてみる。

(1)サイトにアクセスした人は何人か
(2)そのうち、保険料のシミュレーションをした人は何人か
(3)そのうち、資料請求してくれた人は何人か
(4)そのうち、申し込み完了してくれた人は何人か
(5)そのうち、必要な書類を送り返してくれた人は何人か

問題を分解することで、未契約のお客さまが、どこのステップまでは進んでいて、どのステップがボトルネックになっているのかも明らかになった。ネット上での申し込みは完了していたものの、身分証明書のコピー等が期限内に送られてこなくて、不成立になっている契約が少なからずあることがわかったのである。

そこでこのような人たちに対し、私たちは電話をかけてみることにした。電話帳を見て片っ端からセールスをかけていくようなやり方は私たちの理念とは合致しないが、申し込み手続きをほぼ終えているお客さまに連絡するのであれば有効と考えたのである。

有志で土曜日に集まりいざ電話をかけてみると、お客さまからの反応は総じて好意的で、1日で数十件の契約を獲得するという成果があがった。

※すべて雑誌掲載当時

(ライフネット生命保険副社長 岩瀬大輔 構成=宮内 健 撮影=向井 渉)