4時間26分の大作『ミステリーズ 運命のリスボン』のめくるめくストーリーの秘密とは!【最新シネマ批評】

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[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画の中からおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ピックアップするのは10月13日公開の『ミステリーズ 運命のリスボン』です。世界各国の映画祭で絶賛、有名媒体でも支持されている、巨匠ラウル・ルイス監督作。なんと4時間26分の大作です! 通常の映画の2倍以上の長尺映画「よし、挑戦!」と、気合いを入れつつ鑑賞。いろんな意味で凄い映画でありました。

長尺映画というのは、これまでも多く作られており、最近でも『ジョルダーニ家の人々』の上映時間6時間39分!というのがありました。それに比べれば4時間36分なんてとお思いでしょうが、『ミステリーズ 運命のリスボン』は、ストーリーと演出が凄すぎて「ええええ!」というような展開などもあり、めくるめく時間をお約束する映画なのです。

19世紀、舞台はポルトガル。姓を持たないジョアン少年が、神父の計らいで母親のアンジェラと再会を果たします。彼女は伯爵夫人でしたが、結婚前に別の男性の子を出産したと知られ、伯爵の怒りを買い、8年間屋敷の軟禁されていたのです。ディニス神父は伯爵の不在の間に、アンジェラを連れ出し、ジョアンとともに匿います。そこでジョアンは、両親の悲恋、アンジェラの父親の冷酷な性格などを知ってしまいます。

記者はてっきり、主人公ジョアンが少年から大人になっていく間に起こる数々の出来事とその成長を4時間26分追いかけていくのね……と思いながら見ていました。ところが、ジョアンとアンジェラの面倒を見ていたディニス神父の過去が登場すると、ディニス神父の物語に……。気が付けば、ジョアンはどこに?

こうして、ひとりの人物のエピソードに登場する別な人物が、その後の主人公のようになっていき、世代を超えて、人と人とが繋がっていく。この物語は終わるのか、メビウスの輪のようにグルグルといろいろな人の人生がまわっていくのでは……とさえ思いました。舞台もポルトガルから、フランス、イタリア、ブラジルと世界大移動です!

スケール感は凄い! でも、大げさにそれを強調することはなく、それぞれの人物の人生をじっくり追いかけて行く映画。だから4時間26分も必要なのですね。よくぞこんなさまざまなキャクターの人生を一つの映画にまとめたものだなあと、その力量やタフさに驚きです。ルイス監督が巨匠と言われ、本作が玄人筋から支持される理由はそこにあるかもしれません。

ちなみに監督はチリ出身で、脚本家として頭角を現し、メキシコのテレビ局を経て、チリで監督デビュー。74年にパリに移住。『クリムト』など数々の映画を手掛け、2011年、70歳で亡くなりました。ジョン・マルコヴィッチ出演の新作に取り掛かっていた最中だったそうです。最後までタフに映画に取り組んでいたのですね。

物語を彩る女優たちの衣装、室内の装飾などの美術、夢の世界にいざなうような映像は幻想的で美しいです。正直あまりにも登場人物が多く、その関係が入り乱れているので、記者などは混乱してしまいましたが、ちゃんと頭を整理しながら見れば大丈夫かと……。

また試写では4時間26分の間に休憩が1回(10分)入りました。劇場でもインターバルが入り、前後編で上映されるようですよ。たまには長時間の映画をじっくり鑑賞する秋……というのもいいかもしれませんね。

(映画ライター=斎藤 香)

『ミステリーズ 運命のリスボン』
監督:ラウル・ルイス
出演:アドリアーノ・ルーシュ、マリア・ジュアン・バストゥシュ、リカルド・ペレイラ、クロチルド・エム、アフンス・ピメンテウ、ジュアン・ルイーシュ・アライシュ、メルヴィル・プポー、レア・セイドゥ
(C) CLAP FILMES (PT) 2010


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