毎年、秋になると話題になる「今年のノーベル賞」。今回は、京都大の山中伸弥教授がノーベル医学生理学賞を受賞し、下馬評では最有力候補だった作家の村上春樹氏が、ノーベル文学賞受賞を逃しました。受賞した山中教授には、賞金800万スウェーデン・クローナ(約9800万円)の半分が贈られます(残り半分は、山中教授の研究の実現を最初に行なったジョン・ガードン博士に)。

 半分とはいえ、ノーベル賞でもらう賞金は大金です。その賞金は一体どこからでているのでしょうか。

 そもそもノーベル賞は、スウェーデンのアルフレッド・ノーベルが、遺言で設立を求めたことはよく知られています。自らが発明したダイナマイトが戦争に使われ、多くの犠牲者を出したことを悔やんでのことでした。

 そして、ノーベル賞の賞金は、ノーベルの遺産を運用して生み出しているのです。かつては高額ではなかった賞金は、1990年代に上昇し、2001年には、1000万クローナ(約1億1000万円)になりました。しかし、2008年のリーマン・ショックやその後のユーロ危機によって、資金運用が不調続きになり、資産の枯渇が心配されるように。今年6月には、この年の賞金額を20%削減すると発表するなど、賞金額の調整が行われるようになりました。

 しかし、ノーベル賞は受賞することに意味があるのです。この賞を継続させるためには、仕方のない処置といえるでしょう。過去にはこの高額な賞金がネックとなり、波紋を広げた例もあります。

 1976年にノーベル平和賞を受賞したイギリスの女性平和運動家のベティ・ウィリアムズとマイレッド・コリガンの2人は、北アイルランドの紛争解決を求める運動を行いました。この功績が認められ受賞となるのですが、「賞金を2人で独占しようとした」と誤解され、非難の的に。そんな状態に嫌気がさした2人は運動から身を引き、リーダーを失った組織は崩壊状態となってしまったのです。

 ほかにも、地雷禁止国際キャンペーンの初代コーディネーターが、賞金の使い方をめぐって地雷禁止国際キャンペーンと対立し、コーディネーターの座を降りるといった騒ぎが起こったことも。

 せっかく受賞したノーベル賞もこれでは後味が悪いものとなってしまいます。そんな揉め事は見たくないものです。



『ノーベル平和賞で世の中がわかる』
 著者:池上 彰
 出版社:マガジンハウス
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