『山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた』

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山中伸弥・京都大教授のノーベル医学・生理学賞受賞を受け、iPS細胞(人工多能性幹細胞)への関心が一気に高まっている。また、会見などで「過去の挫折」も語った山中教授の生き様に注目する人も急増中だ。

そんな中、山中教授の「唯一の自伝」が2012年10月11日、出版される。『山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた』(聞き手・緑慎也、講談社、1260円)だ。

研修医時代「じゃまなか」と呼ばれていた

「人生」について山中教授は本書で、研修医時代に、手術に時間がかかりすぎ、「じゃま(邪魔)なか」と呼ばれていたことや、米国からの留学帰りにうつ病を患ったことなどを赤裸々に語っている。山中教授は、失敗とどう向き合い、どう乗り越えてきたのか。興味深いエピソードが満載だ。

「医者になったからには人の役に立って死にたいと思っています。(死んだ)父にもう一度会う前にiPS細胞の医学応用を実現させたいのです」との思いも明かしている。

話題のiPS細胞とは、体細胞を他のあらゆる細胞に育成できる状態に戻したものだ。教授は2006年にマウスの皮膚細胞を使って世界で初めて作製し、07年には人間の皮膚細胞でも成功した。実験成功からわずか6年での受賞は、世界がこの技術にいかに注目しているかを示す証拠でもある。

自分の細胞から心臓や肝臓など、あらゆる臓器や組織を再生して、医療に生かす――実現すれば、倫理的に賛否が分かれる脳死移植も必要なくなると言われている。

本書はiPS細胞について、中学生でも解るように易しく書かれている。この本を読んで、科学の道を目指す少年少女が増えそうだ。