大人の社会科見学のすすめ




身近にある製品はどのように作られているのか? インフラはどのように整備されているのか? それを実際に目で見て確かめようという純粋な動機で始まったのが、個人では見学しづらい施設や史跡などを、参加者を集めて見学する団体「社会科見学に行こう!」です。公式サイトの管理人である小島健一氏に、社会科見学の魅力についてお話をうかがいました。



■「ジオサイトプロジェクト」から始まった



――どのようなきっかけで、団体での社会科見学を始めたのでしょうか?



「2004年、当時書いていたはてなダイアリーで、日比谷共同溝を見学するジオサイトプロジェクトが話題になっていました。最初は東京の地下に入れるという興味本位で参加したのですが、あらためて『人間の凄さ』に気付き、社会科見学に興味を持ったのです。



その時に、そういう場所を見学するためには人を集める必要がある事に気づきました。



同時期にmixiにコミュニティー機能がついたため、その機能を使って同士を募ったわけです」(小島氏)



ジオサイトをきっかけとして、小島氏はこれまで60回以上の見学会を開催したそうです。



■個性的な研究者たちとの出会い



――特に印象に残っている施設はありますか?



「日比谷共同溝は見学を始めるきっかけになった場所ですから、やはり印象に残っています。地底40mに鎮座していたシールドマシンを見た時の驚きは今も思い出せます。



高エネルギー加速器研究機構(KEK)は、研究者たちと出会ったことで活動の幅が広がったというのもありますが、



1.日常的に見ることのない機械にビックリした

2.そういう機械を使って宇宙の摂理を解き明かそうとしている人たちに出会えた

3.その人たちがみな個性的で人間味あふれた方々だった



などの理由で印象が強いです」



――KEKの研究者の中でも、印象に残っている方を教えてください。



「多田将さんです。



東海村のJ-PARC建設時に見学に行った際、迷彩服に軍用ヘルメットをかぶっている金髪の方がいました。業者さんなのかな、と思っていたところに『施設の設計を担当した多田です』というあいさつを受けて、とても驚いた思い出があります。



見た目は奇抜なのですが、誰よりも人を思う気持ちや、やると決めたプロジェクトをやり通す熱い心を持つ素晴らしい方です。難しい物理の話も一般の人が理解しやすいように話してくれる、非常にスマートな頭脳の持ち主でもあります」



著書『社会科見学に行こう!』には、個性豊かなKEK研究者のインタビューが掲載されています。それぞれのキャラ立ちぶりを確かめてみてください。



■社会科見学を通して見えてくるもの



――社会科見学の魅力について教えてください。



「まず、新しい知識を得る機会であること。



壁ひとつ隔てた向こうは、違う世界です。そこに飛び込んで行ける手段が社会科見学であり、新しい世界に飛び込むことで、その世界のしきたりや技に触れることもできるでしょう。他人の日常という異世界で知識欲を満たせます。



次に、新しい人に出会う機会であること。



見学先の人だけではなく、見学会は一緒に参加した人と知り合う機会にもなります。お互い同じことに興味を持った人同士なら、また新たなつながりができるのではないでしょうか。



そして、『人がいる』ことを再確認する機会であること。



自分の身の回りのほとんどのモノは、どこかの誰かが造ったモノ。社会科見学を通して、いろいろな人に会うことで、『どこかの誰か』を想像する力を養うことが社会科見学の醍醐味(だいごみ)です。



これら3つが混然一体となっているのが、社会科見学の面白さです」



小島氏は現在、長崎県の池島で、情報発信や来島者の案内などをする「地域おこし協力隊」として、見学する側から迎える側に立場を変えて働いています。そんな人生を大きく変えてしまうほどの魅力が、社会科見学にはあるのかもしれません。



サイト「社会科見学へ行こう!」では、見学会の情報を随時更新しています。1名から参加できますので、お気軽にどうぞ。



飛び込んだ新しい世界で何を見るか、何を得るかはあなた次第です。



社会科見学に行こう! http://kengaku.org/

ようこそ炭鉱体験「池島へ」 http://ikeshima.info/



(OFFICE-SANGA 服田恵美子)