趣味のレゴブロック、その深い世界




子供のころにレゴブロック(R)で遊んだことのある人は多いでしょう。大人になってもレゴブロックが大好きな人は世界中にいるとのことです。大人をも夢中にさせるレゴブロックの魅力とは何でしょうか? 「レゴブロックの匠」として世界的に有名な五十川芳仁(いそがわよしひと)さんにお話を伺いました。



五十川さんはレゴブロックに関する著述も多い、その世界では大変に有名な人です。



――ホビーとしての「レゴブロックの世界」について知りたいのですが。レゴブロックを趣味としている人はどんなタイプに分かれるのでしょうか。



五十川さん 大きく2つに分かれると思います。1つはモデラー系の人。もう1つはコレクター系の人です。モデラー系の人というのは、自分の作りたい物を自分の手で制作する人。コレクターの人というのは、レゴブロックのキットを集めて飾っておくことに喜びを見い出す人ですね。



レゴブロックのグッズ、Tシャツを集めたりする人もコレクター系に入るでしょう。



――モデラー系の人たちに何か特徴はあるでしょうか。



五十川さん 専門としているシリーズ、好きなシリーズと言ってもいいかもしれませんが、それによって分かれると思います。システム系、テクニック系、マインドストーム系の3つですね。システム系というのは、みなさんがよくご存じの、普通のレゴブロックのことです。



テクニック系になると、特殊なパーツが入ってきます。例えばデフギア、ステアリングシステムやモーターなどの「仕組み」、さまざまな「動き」を実現するための「ギミック」が使えます。機械を作るのが好きな人は「テクニック系」ですね。



マインドストーム系では、さらにコンピューターの要素が入ってきます。CPU、メモリーが組み込まれたパーツがあって、これにセンサーなどのパーツを組み合わせると自律的に動作する「ロボット」だって作れます。このマインドストームは、最初のバージョンが出た時(1998年)には「レゴブロックの新時代を拓いた」として世界的に大評判になりました。



マインドストームは今でも進化を続けています。



――五十川さん自身はどのタイプなんですか?



五十川さん 私は、テクニック系、マインドストーム系の「動くモノ」を中心に制作をしています。



――レゴブロックのマニピュレーターを動かして、ルービックキューブをすごいスピードで解くビデオがネットに上がって評判になったりしましたが。



五十川さん あれは8年前ぐらいにもうあったんですよ。



――えっ、そうなんですか?



五十川さん そうなんですよ(笑)。もちろん当時は動きがもっとゆっくりだったりしましたが。最近話題になった物は、計算の部分は全部アンドロイドでやってますよね。パーツはレゴブロックのものですけどね。



――レゴブロックが好きな先人たちの積み上げがあってここまだたどり着いたんですね。



五十川さん そうですね(笑)。レゴブロックを使うとああいうことまでできるという、いいデモになってるとは思います。



■レゴブロックの魅力は「試行錯誤」にあり



――五十川さんはいつからレゴブロック好きなんですか?



五十川さん 私は5才ぐらいの時に親が買ってくれたのがレゴブロックに触れた最初で、それからずっと45年ぐらいレゴブロックが好きです(笑)。



――レゴブロックの魅力はどんな点にあると思いますか?



五十川さん それは「試行錯誤できること」だと思います。ああでもない、こうでもないと、自分であれこれ試しながら物を作れる。これが最大の魅力だと思います。子供に「壊して遊ぶ」楽しみを提供できるのも、知育玩具として優れている点ですね。



――壊して遊ぶ?



五十川さん 「壊して遊ぶ」ことは子供にとって重要なことだと思うんですよ。壊して、また作って、その中で学べることがあるんです。私の子供のころには、身の回りにたくさんの「機械」がありました。例えば(機械式の)時計。



子供のころにはそれを分解して気の済むまで遊んだものです。そうして機械の仕組みなどを理解します。でも、今は時計を分解してもICと液晶しか出てこないでしょう?



――ゲームマシンを壊しても同じですね。



五十川さん そうです。子供の周りに「壊して遊べるもの」がない。こういう楽しさを与えてくれるのはレゴブロックしかないと思います。なので私は子供たちに、ぜひテクニック系のレゴブロックを触ってほしいと思っているんです。



――五十川さんはレゴブロックに関する本をたくさん書かれていますが、その動機もそのあたりにあるのでしょうか?



五十川さん 私が最初に書いたレゴブロックの本は『レゴのしくみで遊ぶ本』というもので、1999年のことでした。この本は絶版になってしまって。それでも「同じような本が欲しい」という声が多かったので、新たに『レゴテクニック虎の巻』というPDF版の電子書籍を作ってシェアウェア的に公開しました。



――布教活動のような熱心さですね(笑)。



五十川さん ……(笑)。そうこうするうちにアメリカの出版社からオファーが来て『The LEGO Technic Idea Book』というシリーズで3冊本を出しました。これには説明文がまったくないんですよ(本のページをめくる)。



――本当ですね。



五十川さん どんな国の人でもわかるように、その人が何歳でもわかるように説明文を一切入れていません。その代わり、本に出てくるレゴブロックのパーツはひとつひとつ色分けをして、理解しやすいように心がけました。



ちなみに、作例の制作、撮影、フォトショップでの加工、ページデザイン、表紙デザインなど、全部私がやっています(笑)。



――1人何役なんですか(笑)。最近ではどんな活動をしていますか?



五十川さん 『ブロック・からくり・けんきゅうじょ』という企画のために、企画立案、テキストブック・モデル制作をやっています。子供たちを20〜30人集めて行う、テクニック系のキットを使った知育教育ですね。



――子供たちの評判はどうでしょうか?



五十川さん すごくいいですね。先ほども言いましたが、レゴブロックは非常にいい知育玩具なんです。



■レゴブロックに興味を持った人は……



――レゴブロックに興味を持って「始めたい」と思った人は、何から始めて、何を買えばいいでしょうか?



五十川さん 売り場に立ってレゴブロックのキットを見渡してみて、「これが欲しい」と思ったものを買って、それで始めればいいと思います。安いものは1,000円ぐらいですし、高価なものでも2万円ぐらいです。マインドストームになると4万円ぐらいはしますけれども。



でも、それだけ出せば買えますので。



――大人にとってはそれほど高価でない趣味ですか。



五十川さん そうでしょう。それに、お子さんをダシにハマっているお父さんも随分おられると思いますね(笑)。



小1時間ほどお話を伺っただけでも、レゴブロックの世界の奥深さの一端を知ることができました。みなさん、お子さんにはレゴブロックを買ってあげてはいかがでしょうか? もっとも親が虜になってしまうかもしれませんが。



(高橋モータース@dcp)





五十川芳仁さんのサイト

http://www.isogawastudio.co.jp/legostudio/

http://www.youtube.com/user/ISOGAWAYoshihito



ルービックキューブを最速で解くマシン

http://www.youtube.com/watch?v=VzpgBKfkuZQ&feature=related