現在、富士通が開発した犬向けの歩数計「わんダント」が「CEATEC JAPAN 2012」に出典されています。また、ペットの体重の増減や体調の変化を管理するアプリも登場するなど、ペットも人間同様に健康管理が必要な時代となってきました。

 しかし、いまから100年ほど前を考えてみますと、犬たちのほとんどが働いていました。当時は、狩りの手伝いやヒツジの番、護衛など、社会経済的に重要な仕事を任されていたのです。一部の大金持ちにとって犬は可愛がるおもちゃでしたが、多くの場合、犬が仕事をすることで飼い主は満足をしていました。

 ただ、現在ではそのバランスが逆転したといえるでしょう。働くことなどか期待されず、家族のペットになることが唯一の目的と言っても過言ではありません。

 書籍『犬はあなたをこう見ている』では、「働くように作られた犬の多くがうまく順応してきたとは言え、新しい役割に向いていない種類もあって、ペットとして一番人気の犬種がどれもペットとして特別に品種改良されたものでないのには驚くばかりだ。(略)人間社会が変わり続け、地球がますます混み合ってくるにつれ、ペットとしての犬の人気にかげりが見えているし、どんどん新しくなるライフスタイルへの順応は、特に都会では、かなり厳しいものになっている。犬は生きものなのだから、コンピューターや車みたいに10年ごとに設計を変えるわけにはいかない」と、現在の犬の生活を心配しています。

 また、その昔、犬が働いていたのは田舎が多く、彼らは自分のことは自分でしながら毎日を過ごしていました。しかし、今は束縛の多い都会に住み、人間の平均的な子どもより行儀よくしながら、人間の大人のように自立することを求められていると言います。


 人間の都合に合わせて変化しなければならない犬たち。本能と違うものを求められているとしたら、彼らが抱えるストレスは決して少なくないでしょう。

 また、しつけに対しても興味深いデータが紹介されていました。アメリカの、ある獣医師の行動クリニックの利用者に尋ねた調査では、多くの飼い主がまだ対決的な訓練方法に頼っていることがわかりました。

 「望ましくない行動をした犬を叩くまたは蹴る」...43%、「犬が口にくわえたものを力ずくで放させる」...39%、「アルファロール(力ずくであおむけに寝かせ、押さえつける)」...30%、「ドミナンスダウン(力ずくで横向きに寝かせる)」...29%、「犬の顎をつかんで左右に振る」...26%と、なっています。

 体罰が広く使われている理由はまだハッキリしていないといいます。犬は人間のことをどう見ているのでしょうか。もっと人間社会が発展し、犬と話せる機械が発明されれば、聞いてみたいところです。



『犬はあなたをこう見ている ---最新の動物行動学でわかる犬の心理』
 著者:ジョン ブラッドショー
 出版社:河出書房新社
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