昆虫が食糧危機を救う!?




昆虫を食べたことありますか? 昆虫料理研究家の内山昭一氏が行ったアンケートによると、意外にも昆虫食経験者が半数を超えたそうです(『昆虫食入門』より)。そもそも昆虫は日本の食文化に根付いていて、イナゴやハチの子はいまでも盛んに食べられています。かつてはもっと多くの昆虫が食卓に上っていたそうです。食の多様性を広めたいという思いから、内山氏は定期的に昆虫食の会を開いています。実際に参加してお話をうかがいました。



■捕って楽しい、食べておいしい



――どうして昆虫食を始めようと思われたのでしょうか? きっかけを教えてください。



「東京で食用昆虫展が開かれたときに、たまたま聞いた講演で、世界中で昆虫が食べられていることを知りました。



驚くと同時に、子どものころに食べていたのを思い出して、自分でもやってみようと。友人たちと河原で集まって、トノサマバッタを捕って食べたのがきっかけです。



捕ること自体の楽しさと充実感があり、その場で揚げて食べたのが予想よりもはるかにおいしかったんです」(内山氏)



――トノサマバッタはそんなにおいしいんですか!



「イナゴなどはつくだ煮で食べ慣れていると思いますが、それに比べるとトノサマバッタは大きくて肉の部分がけっこうあります。捕った直後に素揚げしたので新鮮でうま味があり、なかなかのものです。



それをブログに載せたところ、自分もやってみたいという人が出てきて、5人が10人になり、口コミで広がっていきました」



――自然発生的に広がったということは、おいしい・楽しいということをみんなが共有できたということなのですね



「そうですね、楽しさを共有できたからだと思います。毎年やっているセミ会は、リピーターや遠方から参加する人もいる、人気のイベントになりました」



■人気イベント「セミ会」に潜入!



――セミ会のシーズンはいつごろですか?



「7月末から8月の半ば、お盆前くらいまでです。それ以降は東京や関東のあたりでは、幼虫が出なくなってしまいます。



幼虫は中身も充実していておいしいので、セミ会の場合は幼虫がメインになりますね」



――幼虫はどのような味がするのでしょうか?



「ナッツですね。素揚げして食べるとナッツ系の味がします」



セミはナッツの味がするなんて! これは実食しなくてはなりません。実際に参加してみました。



この日のメニューは、充実のコース料理。セミ以外にも、さまざまな昆虫をいただきました。



・ミックス虫ピザ

・タイワンツチイナゴとコガネムシのから揚げ

・サクサン(蛾)のサナギのにんにく炒め

・セミの幼虫とバッタをチョココーティングして、トッピングしたアイス(カイコの卵かけ)



これらの料理は、参加者が自分たちで調理します。セミの幼虫は香ばしくておいしかったです。2回もおかわりしちゃいました。



■調理のプロセス込みで味わう「食育」の大切さ



――昆虫食の会には、いつも調理する過程が入っているのですか?



「この会場(阿佐ヶ谷よるのひるね)でやる場合は、一貫してやってもらっています。生きているものを食べ物にするというプロセスを体験してもらうのが、食育という面でも非常に大切だと思っているからです」



たしかに自分の手で調理するうちに、純粋に食材に見えてくるというのは参加者に共通する感想でした。



■食事を楽しく変化に富んだものにしたい



内山氏はさらに、昆虫食は人口増加に伴う食糧危機への有効な対策になるはずと語ってくれました。



「昆虫だけに限らず、地方ならではの珍しい食材とか、安定供給が難しい、従来の流通に乗りにくかった食べ物に、今また注目が集まっています。昆虫もその流れと同じだと思います。



季節によって出てくるもの、きのこや山菜みたいな感じで、食卓に彩りを与える一品になればと思っています」



それは遠くない未来に実現するのではないでしょうか。なぜなら、昆虫食をする層が確実に広がっているからです。



実際に私もその一人。10月にあるというバッタ会に参加する気満々です。



11月には、内山氏も参加する虫食いフェスティバルが開催されます。研究発表あり、トークライブあり、虫にまつわる映画紹介ありと、盛りだくさんのイベントです。まずは気軽にのぞいてみてください。きっとおもしろいし、おいしいですよ。



内山昭一氏著書:『昆虫食入門』(平凡社新書)、『楽しい昆虫料理』(ビジネス社)

昆虫食彩館(昆虫料理研究会ホームページ)

http://insectcuisine.jp/



(OFFICE-SANGA 服田恵美子)