アラフォー女子にはちょっと「イタいっ」!? 中山美穂&向井理主演の恋愛映画『新しい靴を買わなくちゃ』【最新シネマ批評】

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【映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画の中からおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します】

今回は中山美穂、向井理主演の恋愛映画『新しい靴を買わなくちゃ』です。監督・脚本は人気脚本家の北川悦吏子、製作は岩井俊二、音楽に坂本龍一。豪華なバックアップを得て、北川監督が得意のラブストーリーをオールパリ ロケで展開しております。

「ビューティフルライフ」「ロングバケーション」などドラマの黄金期に高視聴率を放った脚本家ですが、監督は2作目(デビュー作は『ハルフウェイ』)。何しろパリが舞台ですから、オシャレ映画って感じですかね……と見てみると、意外や、アラフォー女子は「イタっ!」と心に激痛が走るような、毒気がたっぷりの映画に仕上がっていました!

物語はカメラマンのセン(向井理)が妹のスズメ(桐谷美玲)とパリへやって来るところから始まります。いきなり妹に街中で置き去りにされたセンは、通りすがりのアオイ(中山美穂)に落としたパスポートを踏まれてしまいます。アオイも滑った勢いでハイヒールを壊してしまいます。センがアオイの靴を直してあげて、別れた二人ですが、泊まるホテルがわからないセンは、アオイの名刺に電話。センの少ないヒントからアオイはホテルを探し当て、センをナビしてあげるのです。そこから二人の3日間の淡い恋が始まります。

アオイはパリでフリーペーパーを作っている編集者ですが、キャリアに邁進するイキイキした女性というより、孤独感のある女性です。アラフォーと思われる彼女は、過去に秘密があり、少し寂しそうなのもその過去が影響しているようです。その寂しい心に突然入り込んできたのがセンです。センと出逢ってからのアオイのはしゃぎぶりが凄いです。正直、ちょっとイタい。「ヒロインは中山美穂なんだ。そんなはずは」と思いながら見ていたのですが、やっぱりイタい……。

本作は美しいパリの景色を切り取り、インテリアもオシャレで、音楽も素敵! 外枠はものすごく美を感じさせるのですが、ヒロインのイタさがリアルでビックリしました。「アラフォーの女性が年下男に夢中になってウキウキするって、第三者が見るとこんなにイタいのか……」と。パリというオブラートに包んでいますが、中身は甘いキャンディではなく、けっこうスパイシーだったのです。

でも実は記者はそこがとても良かったです。ちゃんと現実を映し出しているからです。アオイとセンが劇的な恋愛をするのではなく、そこにはアラフォー女性のリアルな姿がありました。またふたりともお互いに想いを抱えつつも大人の対応をするのです。ちょっとイタいけれど、節度ある関係だからこそ、ラストはちょっと切ない気持ちにもなりましたよ。

また、この映画のサイドストーリーでもある、センの妹と恋人カンゴ(綾野剛)の恋愛も、最初こそラブラブだったものの、こちらも現実と直面せざるをえない展開になり、彼女は精神的にひとつ大人になります。こちらのエピソードも納得のいくものになっており、一つの映画の中で二つの恋が見事に生きていました。

それにしても北川監督はいい男の扱いが巧い。向井理も綾野剛も、女子が「こうしてほしいなあ」と思うことをしてくれるのです。まさに王子様的な存在として、スクリーンに降臨! こういう男子の王子的描き方、久々見ましたね。これはアオイじゃなくても、ウキウキしちゃうかも。

この映画を見て、若い女性は「はしゃいじゃって」と、ヒロインに少しイラっとくるかもしれませんが、40代近くなったら、あなたも同じですよ〜。ちょっと心して見た方がいいかもしれませんよ。

(映画ライター=斎藤香)

『新しい靴を買わなくちゃ』
10月6日公開
監督&脚本:北川悦吏子
出演:中山美穂、向井理、桐谷美玲、綾野剛、アマンダ・プラマー
(C)2012「新しい靴を買わなくちゃ」製作委員会


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