ジャッキー・チェンさん(2011年10月撮影)

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香港出身のハリウッドスター、ジャッキー・チェンさん(58)が、日中で領土問題になっている尖閣諸島について「中国の領土である」と発言したことで、日本から「親日派と思っていたのに裏切られた」などとジャッキーさんへのバッシングが起こっている。

ただし併せて、「北方領土4島は日本のもの」と語っているため、今や中国を代表するスターで、広告塔でもあるジャッキーさんの苦しい胸の内を心配する人も出ている。

台湾で100本目作品のPR会見

中国のニュースサイト「網易娯楽」など複数のメディアが2012年10月2日に報じた記事によれば、ジャッキーさんは自身が監督し、出演100本目となる新作映画「チャイニーズ・ゾディアック」のPRのため、ロケ地の1つとなった台湾を1日に訪れた。

ジャッキーさんの今回の役は、中国から奪われ流出したお宝を、世界各国を探し回り奪い返すというものだったため、記者から関連した質問として尖閣諸島についても聞かれ、

「歴史的にも釣魚島は中国のものであることは疑いようがありません。この問題を解決するためのイベントを中国政府にお願いしたいですし、もし私がスーパーマンだとしたら、中国に釣魚島を引っぱってきます」

などと語った。

ただし、ジャッキーさんの発言はこれで終わらずに、ロシアの領土問題に触れ

「北方領土4島は日本のものであり、ウラジオストックは中国のものです。世界正義の下にロシアは返還すべきなのです」

と尖閣諸島問題に併せて語ったと報じられている。

日本ではこのジャッキーさんの発言に「裏切られた」などとネットが騒然となっている。掲示板やブログには

「恩を仇で返すとはな。日本の興行がなかったら香港のスター止りだったくせにな」
「ジャッキーは完全に中共の宣伝屋になってんな。二度と日本に来るなゴミ野郎が」
「小学生のころ、マジで自分にとってのヒーローだったよ。さよならジャッキー」

などの書き込みが出ていて、掲示板「2ちゃんねる」でもスレッドが林立する「祭り」状態になっている。

「自分の真意を察してくれ」とジャッキーは訴えた?

なぜ親日派として知られていたジャッキーさんはこのような発言をしたのだろうか。12年10月4日付けの「東京スポーツ」に解説が載っていて、日本人から大ブーイングが挙がる事は予想できたはずだが「深刻な理由」があると書いている。それは、ジャッキーさんは中国の大物政治家の薄煕来氏の息子と親交があり、薄氏は巨額の賄賂を受け取ったなどの罪に問われ12年4月に失脚した。そのためジャッキーさんもマークされ、愛国の意思を示さなければ身の危険が迫る状況にある、と説明している。

もっとも、ジャッキーさんは10年の上海万博では、世界中に配信されたPRソングでメインを務めるなど、中国の広告塔的な役割を果たしていて今や中国の顔の一人という存在だ。そんなジャッキーさんが「尖閣諸島は日本のもの」と言うはずもなく、ネットで起こっているバッシングの嵐も「騒ぎすぎだ」と冷静な人もいる。「釣魚島は中国のもの」と言った後に北方領土について触れたことがジャッキーさんの「誠意」だとして

「北方領土に言及してるあたり自分の真意を察してくれっ、て感じだな」
「ジャッキーなりにかなり日本に気をつかったな」

などといった意見もネットに出ている。