【うちの本棚】第百三十四回 死の砦/川崎のぼる

「うちの本棚」134回目は、川崎のぼるの西部劇作品を集めた短編集『死の砦』です。西部劇らしい西部劇というにふさわしい作品ばかりを収録した、川崎のぼる西部劇の代表的な一冊といえるでしょう。

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朝日ソノラマ「サンコミックス」の初期は帯が付いていたりカラー口絵が付いていたりするが、本書も帯、口絵、解説(映画監督・岡本喜八)などが付いている(ちなみにシリーズ最初期のものには紐のしおりも付いていた)。

本書は川崎のぼるの西部劇作品を集めた短編集。冒頭の『保安官志願』の主人公はチャリーといい、『大平原児』シリーズの一本になるのかもしれない。

昭和30年代後半から40年代にかけてはテレビ・映画でも西部劇が人気であり、日本映画でもいわゆる「無国籍映画」と呼ばれる和製西部劇が人気を博していたので、マンガ・劇画の世界でもその影響を受けて西部劇が描かれたことは間違いない。とはいえ川崎のぼるほど巧みに西部劇らしい西部劇を描いていた作家はいなかったのではないかとも思える。本書に収録された各短編を読んでみても、その印象は強くなるばかりだ。

登場する主人公たちはたいてい早撃ちの凄腕ガンマンで、アウトロー(無法者)であっても正義感がある。決闘シーンなどもほぼ全話に登場し、射撃のシーンも頻繁なのだが、ストーリー重視の姿勢なのか、銃器そのものへのヴィジュアル的なこだわりはあまり感じられないのも川崎西部劇の特徴といえるかもしれない。もっとも本書の場合、各話の扉ページでは銃がていねいに描かれてはいる(そのため、作品の扉自体は未収録になっている可能性が高い)。

川崎のぼるの西部劇だけを集めた作品集などもあってもいいように思うが…どなたか企画してくれませんか?

書 名/死の砦
著者名/川崎のぼる
出版元/朝日ソノラマ
判 型/新書判
定 価/240円
シリーズ名/サンコミックス(SCM-18)
初版発行日/昭和42年12月5日
収録作品/保安官志願、黒い荒野、西部の挑戦者、最後の決闘、荒野の群盗、泣き館、死の砦

(文:猫目ユウ / http://suzukaze-ya.jimdo.com/