得意のクロスへ強打を打っていく朝日健太郎。パートナーの白鳥は「朝日さんのクロスを止められるのであれば仕方がない」と話す

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 国内ツアー第6戦、男子大会今シーズン最終戦となったペボニアカップは、お台場海浜公園にて30日、最終日が行われた。

 今季限りの引退を表明している朝日健太郎(フォーバル)は、白鳥勝浩(湘南ベルマーレ)とのペアで決勝に進んだが、西村晃一・ショーン・スコット組(WINDS)に1−2で敗れ準優勝に終わった。

 女子は草野歩(フリー)・尾崎睦(湘南ベルマーレ)組が今季4勝目を飾った。

 花道を飾ることはできなかったが、つねに笑顔だった。「点数は気にならなかった。白鳥に『気持ちよくやりましょう』と言われて、楽しくてしかたなかった」アメリカナンバーワンのブロッカーを相手にフルセットまで闘い、息は上がっていたが、それでも朝日の顔には笑みがこぼれていた。

 第1セット序盤、国内では見ることがないほど強烈なショーンのジャンプサーブに為す術なく先行を許す。しかし中盤に入りショットや白鳥のサーブで相手を崩し、じわじわと追い上げ、デュースに持ち込んだ。最後はショーンの高さにセットを失うが、この勢いは第2セットも続いた。

 第2セットは、主導権を握りかえした。「日本のゲームは、アメリカと違いプレイ間のインターバルが短い」と話すショーンに、疲れがみえはじめた。微妙な判定による中断で西村・ショーン組にリズムがなくなると、幾度か追いつかれはしたものの、主導権は離さずセットをものにした。

 第3セット。朝日も肩で息をするようになり、トレードマークのジャンプの高さが落ちてきた。それに気づいた西村が戦術を変更。ボールを集め、朝日の得意のクロスへの強打をワールドクラスのブロックで止め、点数を重ねた。

 白鳥も気づいていたが「アメリカのトップのブロックを打ち抜けるのは朝日さんしかいない。『クロスに思い切り打ってください』と言った」と話す。最後まで、国内に王者として君臨し世界でも結果を残したスタイルを貫いたが、終盤にもブロックにつかまり、朝日にとって最後の試合は終わった。

 試合後には引退セレモニーが行われ、6年間、チームを組んできた白鳥をはじめ、他の選手、関係者、スポンサー、ご家族からメッセージと花束が贈られた。

 02年、ともにインドアから転向しチームを組み、そして最後の対戦相手となった西村は「10年前、誰もいないビーチで(朝日)健太郎と始めたことを思い出す。決勝を前にこみ上げるものはあった。試合をするたびに健太郎に勝つことが目標のひとつだった。彼はもっといい結果を残せるポテンシャルはあるので引退するのは残念に思う。ただ心からお疲れさまと言いたい。一緒にできて本当に楽しかった」と話した。

 朝日の跳ぶ姿を後ろから見続けてきた白鳥は「チームを初めて組んだとき、僕には朝日さんと組んで失敗することはできないと責任感があった。引退が決まってからまともに練習をしていないが、これだけできたのは二人の長い経験があったから。朝日さんのポジティブさを若い選手は真似してほしいと思う」と語った。

 朝日は、奥様からの言葉にも、後輩からの胴上げにも最後まで涙はなく笑顔だった。「選手、ファンの皆さんが、にこやかに送り出してくれて選手冥利につきる。やりきった、充実した選手生活だった。あぁ、終わったんだなぁと感じる。ありがとう以外何もない。25年間ありがとうございました」

 国内ツアー通算35勝、ワールドツアー最高位4位、北京、ロンドン2大会連続のオリンピアン。そして、10年に渡り日本のビーチバレーを牽引してきた199cmの大きな身体と笑顔がコートをあとにする。ひとつの時代が終わった。

結果は次の通り。

□ 男子3位決定戦
仲矢/長谷川(翔) 2(21-18,21-18)0 青木/日高
□ 男子決勝
朝日/白鳥 1(21-23,21-19,8-15)2 西村/ショーン
□女子3位決定戦
金田/村上 2(21-15,21-16)0 浦田(聖)/西堀
□ 女子決勝
尾崎/草野 2(21-16,17-21,15-11)1 田中/溝江

(取材・文=小崎仁久)