休暇のために働くフランスの人々

海外駐在員ライフ Vol.166

From France

バカンスは先手必勝?夏の終わりには来夏の予約も!


■夏の終わりには来夏の予約を済ませる

こんにちは。ベンジャミンです。今回は、フランスの人々の暮らしについてお話しします。

フランス人スタッフと接していて、私たちとの違いを一番感じるのは、休暇に対する意識です。仕事の合間に休暇を取る日本人とは対照的に、彼らは休暇のために仕事をしているような印象を受けます。そして、休暇を目いっぱい活用するために予定を詰め込む日本人に対して、彼らは、あちこち移動せずに、一カ所に長期滞在するのです。中には、慣れ親しんだ同じ場所に毎年行く人も少なくなく、フランス人の約7割が国内で3〜4週間のバカンスを過ごすという統計結果も。滞在先でも、忙しく観光したりはせずに、のんびりと本を読んだりして過ごします。

パリに住んでいる同僚たちだと、夏は太陽を求めて南仏方面に行くことが多いようです。ただし、ニースやカンヌといった、外国人観光客が集中するような有名な観光地ではなく、もっとマイナーな町ですね。観光客が少なく、リーズナブルに滞在できる場所を、彼らは知っているのです。毎年新しい行き先を開拓するというよりは、一度気に入ったら毎年その町を訪れるケースが多く、帰り際に翌年の予約を済ませてくる人も少なくありません。

冬は、なんといってもアルプスのスキー場。やはりシャモニーなどの観光地ではなく、過去に訪れて気に入ったスキー場に毎年通っているようです。フランスのスキー場には、7泊8日、14泊15日といった長期間借りられるリゾートマンションがあり、部屋についているキッチンで自炊すれば、4人家族なら1週間、約5万〜10万円くらいの宿泊費で滞在できます。フランスの人たちは、そうしてお金をかけずにバカンスを楽しむ方法をよく知っているのです。

バカンスが最大の関心事だということは、毎年4月ごろからのオフィスでの雑談の話題が、もっぱら「夏休みはいつ取るの?」「どこに行くの?」となることからもわかります。毎年、同じ場所を訪れている人たちは、すでに予約を済ませていますし、そうでない人も、たいていこの時期には予定を組んでいる様子。6月になっても行き先が決まっていない人は、完全に「出遅れ組」で、その時期から手配を試みても、希望のホテルなどは予約できないことが多く、妥協を余儀なくされます。バカンスは先手必勝なのです。


■見知らぬ同士でもきちんとあいさつ

ここフランスで目を引くのは、誰とでもあいさつを欠かさないこと。例えば、会社の同僚とは、毎日必ず全員と握手を交わします。その日に初めて会った時点で、必ず握手を交わし、お互いの健康や近況を確認したりもします。たとえそれが夕方だったとしても、決して省略したりしません。

エレベーターに一緒に乗った見知らぬ人や、バスに乗り込む際に目の合う運転手、スーパーのレジの人など、同じ空間を共にすることになった人とも、必ず「ボンジュール」などとあいさつを交わします。道端で知らない人に道を教えてもらおうと声をかける際など、「すみません、××はどっち方面ですか?」と切り出すと、まず先に「ボンジュール」と返されます。そこで初めて、あいさつ抜きでいきなり質問をしてしまったことに気づき、あわててあいさつから始めるというわけです。誰とでもきちんとあいさつをする習慣は、日本人も大いに学ぶべきだと思います。

お互いの頬と頬をくっつける「ビズ」は、かなり親しい人同士のあいさつです。職場では、同僚同士のビズはあっても、上司と部下のような上下関係がある場合のビズはまずありません。また、同僚同士なら誰とでもビズするわけではなく、何らかのきっかけで双方が合意して初めてビズでのあいさつが始まるようです。私自身、ビズをするのは、同僚の中でも、仕事以外に付き合いがあるような相手とだけですね。

フランスの人々は、思いやりの精神にはあふれています。例えば、後ろから来る人のために扉を開けて待っていたり、ベビーカーに小さな子どもを乗せている人が階段を上がろうとしていれば、すかさず手を貸す人が現れます。老人や女性、子どもは常に最優先という共通認識が社会に根付いていることが日々のいろいろな場面でよくわかります。

その一方で、「人に迷惑をかける」ということに関しては、私たちとは少々感覚が異なるようです。例えば、歩道の真ん中で知り合いとばったり再会して立ち話をしようとするとき、私たちだったら、通行人の邪魔にならないように、歩道の端に寄ったりしますが、こちらの人々はお構いなしに歩道をふさいで話し続けます。自動車の運転でも、3車線ほどある道路で、右車線にいた車がいきなり交差点で左折をしてきたり、混んでいて明らかに前に進めないことがわかっている交差点に、どんどん進入してきたり…。案の定、信号が赤に変わり、身動きとれなくなった車で交差点がグチャグチャになっていることなど日常茶飯事です。

電車の扉の前に立っている人も、駅で降りる人のために一旦ホームに降りたりしませんし、電車からホームに降り立った人がその場で荷物の中から探し物を始めて、後から降りてくる人の邪魔になっても一切気にしません。エスカレーターを上りきったところで立ち話を始め、エスカレーターから流れ出てくる人たちにぶつかられて、逆に怒りだす人もいるほど。「人に迷惑をかけてはいけません」と教えられて育った私たちとの違いを、つくづく感じます。

次回は、私のパリでの生活についてお話しします。