低コスト構造で黒字に転化。物件価値の向上や関連事業の整備で収益体制を維持

人事部長インタビュー Vol.32

株式会社レオパレス21 原田博行さん

景気に左右されない事業構造への変革を行ってきた同社の次なる戦略とは?


■安定収益化と海外進出。景気に左右されない事業構造への変革

アパートなどの建築請負事業と賃貸事業を主力事業として展開する当社は、2012年で40周年を迎えました。しかし、現在に至るまで市場動向に合わせ、ビジネスのあり方も大きく変えてきました。08年のリーマン・ショック(*1)には、経済環境の悪化により、建築請負事業のお客さまがアパート経営に対してそれまで以上に慎重に検討するようになり、建築受注にも影響が出始めたのです。さらに、それまで全国で高い水準を維持していたアパート入居率が、地域によっては大きく低下。当時 建築請負事業が業績の大半を占めていた当社にとっては大きな打撃となり、まだまだ発展途上であった賃貸事業のさらなる強化が必要に迫られたのです。

こうした状況が約2年間続く中、当社は、建築請負事業中心の事業構造を変革させることに取り組んできました。その一つが賃貸事業できちんと収益を出すこと。さまざまな入居促進施策によって入居率を回復させると同時に、社内経費や販管費(販売費および一般管理費)に含まれるムダ・ムラを削減するなど低コスト構造をつくり、12年3月期に営業黒字に好転しました。また、グアムでのリゾート施設運営や介護ビジネスなどの関連事業も11年まで一進一退の攻防が続いてきましたが、さまざまな経営努力が実を結び、営業利益の黒字化へ推し進められてきたのです。

さらに新たなビジネスとして、太陽光発電システムの敷設という新たな取り組みも始めています。原発問題などから注目が高まっている太陽光発電を、オーナー様が所有されているアパートに敷設するという提案で、現在は毎月15〜20億円を売り上げています。12年3月末時点での設置率は18パーセントを、今後30パーセントにまで引き上げる計画です。太陽光発電の敷設などで物件価値を向上させ、入居者を安定的に確保できれば、以前から目指してきた「ストックビジネス(継続的に利益の上がる事業)」がようやく軌道に乗るものと期待しています。“住まい”というすでにあるモノにどんな「プラスアルファ」を加えてより価値あるモノにしていくか。その創意工夫が今、求められています。

とはいえ、少子高齢化や人口減少などを考えると、国内マーケットの限界も視野に入れた事業展開が重要です。アパートは管理コストがかかる上、入居率も景気動向に左右されやすい性質があるため、やみくもに管理戸数を増やすことはリスクにつながります。そこで、今後はアパート管理戸数を57万戸程度での緩やかな増加にとどめ、ストックビジネスにより収益を出す構造づくりに注力していくという方針に切り替えました。

また、会社の成長自体が緩やかにならないよう、現在戦略を練っているのが賃貸事業のグローバル化。そう、海外展開です。最終的には、アパートの建築請負から入居者募集・物件管理までの一切をわれわれが手がけるという、独自のビジネスモデルを海外に持っていくことですが、相応の時間が必要になります。当社では以前より賃貸事業での海外進出に着手し、中国・台湾・韓国に現地の出先機関として賃貸の店舗を運営しているため、まずはその拠点を活用していこうと計画中です。現在は“日本に留学する方々”に当社が国内で管理する物件を斡旋している海外拠点ですが、台湾では新規事業がスタートできる目途が立ちました。中国は法規制の問題があり、まだハードルが多くありますが、韓国については、韓国進出日系企業に対する住宅と生活支援に関する総合コンサルティングをスタート。先日は、新規事業の担当者がベトナムへも視察に行きました。まずは賃貸事業で基礎を固め、そこから広がりをつくっていこうと考えています。

*1アメリカの投資銀行であるリーマン・ブラザーズが、2008年9月に破綻し、世界的な金融危機に陥ったこと。


■活躍しているのは、活動的で気が利き、素直なタイプの人材

新卒者の採用については、12年の入社が82名。13年は300名を計画しておりましたが、新たな事業への補充も考えるとできれば450名を採用したいと考えています。
恐らくこれは「住宅業界」全般に言えることでしょうが、未就労の新卒者にとって、扱っている商品の金額が非常に大きいため、簡単には契約に至らない現実の厳しさや仕事の難しさから、自信を見失ってしまいがちな仕事であるのも事実です。そんな中当社では、新入社員の多くが歯をくいしばり、仕事に対する覚悟と誇りを持って活躍しています。頼もしい限りですね。建築請負営業は仕事が厳しい半面、結果を残せば昇進も早いし、それが給与にも反映される。成果を出した人が正当に評価される点は、当社の魅力だと思っています。

また12年8月に単月黒字となった介護事業の魅力は、高い専門性と幅広い経験を積めるところです。1つの施設の中で、有料老人ホーム・グループホーム・デイサービス・ショートステイといった複数のサービスを提供しているため、“キャリアアップのためにやむなく転職”することなく、社内でいろいろな経験を積んでいくことができます。事業開始5年とまだ日が浅いため、施設も新しく、東日本大震災で当社のアパートには全壊した建物がなかったという実績からも、施設の耐震性や建築構造面では自信を持っています。ハウスメーカーでもある当社が設計・建築した施設そのものも当社の強みでしょう。

それでは、どんなタイプの社員が活躍しているのか。幅広い事業を展開しているため、共通する傾向は一概には言えませんが、あえて言うなら“元気があって活動的な人”“細かいところにも気が利く人”でしょうか。創業以来、経営者たちは皆「素直に営業せよ」と言っていましたが、それは、“言われたことをただ受け止める素直さ”だけではありません。例えば、お客さまはどういうサービスに対価を払うのかを純粋に追求し、営業社員自身が本当に住みたいと思う物件を提案するという“商売の原則”という側面の素直さが実はとても大切なのです。そうした素直な営業スタイルこそがお客さまにかわいがられ、契約につながっているようですね。

今後取り組むべき人事課題は、多様化という面での「女性の活躍」です。もちろん女性の管理職も社内にはいますが、男性ほど多くはありません。今後もやる気のある女性を積極的に採用すると同時に、目標となる女性先輩社員がもっと増えていく仕組みもつくっていきたいと思っています。