携帯電話キャリア編

業界トレンドNEWS Vol.146

携帯電話キャリア編

価格競争が激化するなか、通信以外の事業展開が重要に。そんな各社の取り組みとは?


■スマホ需要が急増も、価格競争は激化の一途。映像・音楽の提供や通信以外の事業展開が重要に

社団法人電気通信事業者協会(TCA)によれば、2011年8月時点での携帯電話・PHS契約数は1億3142万件。すでに日本人の総人口を上回っており、計算上「1人1台」以上に行き渡っている状態だ。そのため、ここ数年は「契約純増数」(新規契約数から解約数を引いたもの)が伸び悩んでいた。ところが、10年度末における大手3社(NTTドコモ・au・ソフトバンク)の契約純増数は669万件と、久しぶりの大幅増を達成。そして11年度末の契約純増数は777万件と、さらなる成長を果たした。

契約数が伸びた背景には、スマートフォンやタブレット端末の普及が本格化したことや、パソコンをインターネットに接続するデータ通信機器(データ通信カードやモバイルWi-Fiルーターなど)の人気などで、「2台持ち」をする人が増えたことがある。IT市場専門のリサーチ・コンサルティング企業であるMM総研によれば、11年度のスマートフォン出荷台数は対前年度比2.8倍の2417万台。携帯電話端末の総出荷台数(4274万台)の56.6パーセントを占める。今後も、スマートフォンの比率はさらに高まると予測されている。

スマートフォンなどの普及により、データ通信量は飛躍的に増えている。こうした状況に対応するため、LTE(下記キーワード参照)方式への移行が急ピッチで進行中だ。NTTドコモでは、12年8月時点におけるLTEサービス「Xi(クロッシィ)」の契約者数が541万件と好調。ソフトバンクモバイルとauも、12年9月の「iPhone5」の発売とともにLTEサービスの提供開始を開始した。また、ソフトバンクモバイルが、新たに取得した900MHz帯を使ったサービス「プラチナバンド」を12年7月からスタートしたのは大きな話題。この周波数帯域の電波は、遠くまで届きやすく、障害物を回り込んで伝わるという性質を持つため、同社の電波品質が改善されるのではと期待されている。このように、大容量のデータ送信を可能にしたり、「つながりやすさ」を改善したりするためのインフラ整備は、今後も活発に進められるだろう。

また、既存顧客を囲い込むため、長期契約者向け割引制度や、同キャリア利用者間の割引制度などの料金施策が、引き続き盛んだ。通話・通信料金の価格が値引き合戦に陥りつつあることは、各社の懸念材料。仮に事業がネットワーク分野だけにとどまり、通話・通信の仲立ちをするだけのいわゆる「土管型ビジネス」になると、高収益を得るのは難しくなるからだ。そこで各社は、映像や音楽といったリッチコンテンツを提供したり、通信以外の事業分野に乗り出したりして、高付加価値の創出に努めている。例えば、auの「うたパス」「ビデオパス」は、定額料金で多彩な音楽や映画・ドラマ・アニメが楽しめる新サービスとして注目を集めているところ。また、NTTドコモは、CD販売チェーン・タワーレコードや、有機・低農薬野菜の販売会社・らでぃっしゅぼーやの子会社化などを通じ、新事業への展開を目指している。

マルチメディア放送の動向も気にとめておきたい。12年4月、NTTドコモが始めた携帯端末向け放送「NOTTV」は、ワンセグ放送の約10倍の高画質や、SNSと連動して視聴者同士がコミュニケーションできる点が売り物。現在のところ、利用料金の高さや対応端末の少なさ、放送エリアの狭さなどが影響して契約者は期待ほど伸びてはいないが、今後の展開には注目が必要だ。