新潟県津川にて、闇夜に行われる幻想的な「狐の嫁入り行列」とは?

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「狐の嫁入り」といえば、天気雨を思い浮かべる人が多いだろう。

だが、夜の山中などで無数の「狐火(きつねび、正体不明の怪しい光)」が連なって見える現象も、「狐の嫁入り」と指すことがある。

この光がちょうちん行列に見えることから、「狐が婚礼のための行列をつくっている」といわれ、今日、各地に様々な言い伝えが残されるようになった。

新潟県東蒲原郡阿賀町津川では、そんな「狐の嫁入り」を見る・参加できるイベントがあるそうだ。

実際にはどのように行われているのか、早速調べてみた。

「昔の結婚式は夜間に行われていました。

ちょうちんを下げて行列している姿と狐火が似ていることから、『狐の嫁入り行列』が生まれたと言われています」と話してくれたのは、阿賀町役場企画観光課観光係の渡辺さん。

阿賀町津川の「麒麟山」には昔から狐が多く生息しており、毎晩のように鳴き声が聞こえたという。

また、この山で「狐火」が見られたという伝承も手伝い、夜間の花嫁行列がともすちょうちんの明かりが狐火に見立てられるようになったのだ。

狐火と聞けばどこかおどろおどろしいもののように感じてしまう。

しかし、「狐の嫁入り行列」が見えた年は豊作になると言われていて、昔から縁起のいいものとして扱われてきたという。

さらに、商家などが多かった津川では、「商売繁盛」や「家内安全」を祈願し、「お稲荷様」を祀(まつ)る風習があった。

それは今日でも変わらず、毎年5月3日には麒麟山「金上稲荷大祭」が行われている。

このように、津川は昔から狐と縁のある地域だったのだ。

また、合わせて同日、「つがわ狐の嫁入り行列」なる奇祭も開催される。

この祭りは、津川の町に口伝されてきた狐火伝説を元にしている。

進む過疎化や高齢化対策のひとつとして、人を呼び込もうとしたのが始まりだという。

実際、1990年に第1回目が開催されて以来、多くの観光客を集めており、今では毎年約5万人が訪れている。

「つがわ狐の嫁入り行列」では、昔の嫁入りの風習をそのままに再現。

辺りが暗くなり始める午後5時、住吉神社で白無垢(むく)姿の花嫁が、里に別れを告げるところからスタートする。

108人のお供を引き連れた花嫁が行列をつくり、松明やちょうちんで幻想的な雰囲気に包まれた町内をゆっくりと進む。

道中、地元の保育園児によって披露される「子ぎつねの祝い踊り」なども見ものだ。

行列が「麒麟山公園」に到着すると、常浪川(こなみがわ)に架かる城山橋上で花婿と花嫁が対面する。

それから、園内に作られた水上ステージで、古式ゆかしい結婚式と披露宴が行われる。

そして、晴れて夫婦となった花婿と花嫁は、すっかり闇に包まれた河原から燃えさかる篝火(かがりび)に見送られ、渡し舟で常浪川をへだてた麒麟山へ。

水上ステージを囲む篝火と、狐の鳴き声が山々にこだまする様は、幻想的で「狐に化かされたような」感動を与えてくれるという。

「狐の嫁入り行列」の最大の特徴は、なんといっても「狐のメーク」だ。

祭りの当日は主役となる花婿や花嫁や、行列に参加する町民が狐のメークをする。

一般の見物客までメークをしてもらえるので、町全体が祝福ムードに包まれるという。

このイベントの主役である花嫁花婿は、毎年公募で選ばれている。

応募の条件は前年のイベント日の翌日(5月4日)から、翌年のイベント日前日(5月2日)までに結婚するカップルで、県内外問わず募集している。

応募したカップルのうち、狐のメークをして行われるコンテストで優勝したふたりが、その年の「狐役」を務めることになる。

なお、「狐顔の人」というような、特別な条件はないとのことなので、われこそはというカップルは気軽に応募してみてはどうだろうか。

通常の式場ではなかなかできない体験ができそうではないか。

残念なことに、2012年の「狐の嫁入り行列」はすでに終了してしまった。

となると、2013年の開催日まで待たないと、このイベントを見ることはできないのか……。

と残念に思った人にぜひ足を運んでもらいたいのが、阿賀町津川にある「狐の嫁入り屋敷」だ。

同屋敷内では、「狐火」をテーマとした映像展示や、「つがわの狐の嫁入り行列」の様子を再現したジオラマを展示している。

さらに、狐のメーク体験や、狐の面づくり(絵つけ)体験までできる。

タイミングが合わずに祭りに参加できなかった人は、こちらで狐の嫁入りの様子を体験してみては?