君はなぜ、そうまでして誰かとつるみたがるのか?

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 インターネットやSNSによって、今や世界中の人々とコミュニケーションを取ることができるようになった。同じ趣味や嗜好を持つ人で気軽にコミュニティを作れるため、フェース・トゥ・フェースのコミュニケーションよりもストレスを感じることが少ないのが特徴だが、その反面、人同士のつながりは希薄になってきているとも言われる。
 『群れない生き方』(ソフトバンク クリエイティブ/刊)の著者で、プロ雀士の桜井章一さんも、インターネット空間でのコミュニケーションは人間関係を希薄にし、結果的に人々の孤独が深まってしまうことを懸念する一人。
 そして、これは同時に、人々が孤独を恐れるからこそネット空間でのコミュニケーションを求めてしまっていることも示唆している。
 どうして人は孤独を恐れ、仲間を作りたがるのだろうか。
 その理由として、桜井さんは、動物の本能として“群れ”を作る感覚が遺伝子に刻み込まれていると指摘しているが、現代人が作る“群れ”は、人類の祖先の“群れ”が命の火を絶やさないためのものだったのと異なり、何かにたかるためのものだったり、誰かを貶めるためのものになっているとも言う。
 本書では、桜井さんがそんな現代人に向けて、“群れ”を作らず“個”の意識を大切にする生き方を提案している。

■知らないものは無理に知ろうとしなくていい
 私たちは、日常的に触れる情報の量は、昔とは比較にならないほど多い。
 その中から取捨選択して必要な情報だけを受け入れていけばいいのだが、確固たる自分を持てず、孤独を恐れている人ほど全ての情報に敏感になってしまい、結果として情報に振り回されるということが起こってしまう。
 「知らないものは知らなくてもいい」
 この感覚を持ってほしいと桜井さんは語る。
 本当の仲間とは共感、共鳴から生まれるものであり、それがなければいくら新しい情報を仕入れても、結局は孤独なままなのだ。

■寂しい者同士で群れるなら孤独でいた方がいい
 物事がうまくいかないと、気持ちが落ち込み、その落ち込みが大きいと孤独感や寂しさが増していく。この孤独感を紛らわせるために誰かと一緒にいたい。その考え方は自然なのかもしれないが、寂しい者同士が一緒にいても、寂しさに拍車がかかるだけであり、明るいものが生まれてくることはない。
 それなら孤独でいた方がマシだと桜井さんは述べる。
 孤独でいる分には、それ以上冷たくなることはないのである。

■友達付き合いに熱くなりすぎるのは熱湯に浸かっているようなもの
 友達がいないのは寂しいものだが、だからといって無理に友達を作ろうとしてもあまりいい結果にはならないだろう。孤立を恐れるあまりの“友達づくり”は、単なる“群れづくり”に他ならず、そのような不自然な人間関係は、維持するのに大きな労力が必要となる。この状態は熱湯に入って我慢しているようなもの。やがて疲れ果ててしまうだろう。
 “群れ”とは少しずつ距離をおくべきだと桜井さんは言う。そして、それでも繋がりを保てている人たちと関係を続ければいいのだ、と。それこそが人間関係を構築する方法として負荷が少なく、自然なやり方なのではないだろうか。

 本書では、群れを作らず、孤独を恐れない桜井さん自身の生き方と照らし合わせて、今の時代に寂しさや孤独とどう付き合っていくべきかが語られている。
 一貫して述べているのは、情報や周囲の人に流されない「自分の感覚」を持つことの大切さとその感覚の「取り戻し方」。
 それさえあれば、自分から人と“群れ”ようとしなくても、孤独にならずに生きていけるはずだ。
(新刊JP編集部)