熊本県・南阿蘇、日本一長い名前の無人駅は豊かな水源地帯にあった!

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南阿蘇鉄道には、日本一長い名前を持つ駅がある。

その名も「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅」。

2007年に島根県松江市の「ルイス・C.ティファニー庭園美術館前駅」の名が変更されて以後、この阿蘇の駅が日本一長い名を持つ駅として栄誉に輝いている。

それにしても、どうしてこんな長い駅名が生まれたのだろう? 答えを教えてくれたのは、駅のホームに立つ案内板。

そこには、この駅の近くには、寺坂湧水、湧沢津(わきさわづ)湧水、塩井社(しおいしゃ)湧水と、優れた湧水地が多いのだと記されていた。

南阿蘇村旅案内人協会の古澤順正会長に聞いてみると、「駅のホームから見える南郷谷(なんごうだに)には、水田が広がっているでしょう。

面の水田に実る稲は、張り巡らされた水路からの“湧水”で育てられるんです。

保木下井手(ほきしたいで)という水路の堤は、なんと300年以上前に作られたものなんですよ」とのこと。

つまりこの土地は、阿蘇平原はもとより肥後平野全体を潤す、豊かな水のあふれる土地。

「水の生まれる里」とは、駅を指す名であるのだけでなく、村全体を指す名前であるともいえるだろう。

こうした湧水は、南阿蘇村全体ではなんと11カ所にものぼり、環境省選定の平成名水百選には、南阿蘇村湧水群として10カ所が名前を連ねているという。

阿蘇へと降った雨は伏流水となって地底を下り、熊本県内の平野の至る所に清水を噴き出している。

熊本市北部には、市街地でありながら、湧水だけが集まってできあがった画図(えず)湖という湖まで存在しているらしい。

そんな南阿蘇村内に噴き出す湧水のうち、質、量ともに最高なのが白川水源と言われている。

毎分60tの水を噴出する白川の源。

飲んでみると、まろやかでうまい。

天然水の味は、含まれるミネラルと炭酸の量で決まるという。

白川水源の水は、俳優の渡辺文雄氏がレポーターをしていた人気旅番組「遠くへ行きたい」の中でも、「日本一おいしい水」と紹介されて話題になった。

水のうまい土地には、清涼感あふれる個性的な「食」が多いものだ。

湧水の手前には売店が並んでいるが、最も古いという「白川水源売店」の名物は「名水まんじゅう」。

くずでつつんだこしあんが、名水とともにつるりと喉を通る。

白川水源エリアでオススメの店をもう一件、紹介しよう。

それは「水源茶屋」の豆腐。

まろやかな軟水で仕込まれた豆腐を、熊本独特のたまりじょうゆやみそで味わうものだ。

決して豪華でも華やかでもないが、名水の爽やかさと素材そのものの味をぜひ堪能してほしい。

最後は「水」に変わって「湯」の紹介だ。

南阿蘇村には15もの温泉があるが、今回紹介するのは、文化5年(1808)に開湯し、江戸時代には藩の重臣だけが利用を許されていたという「地獄温泉 清風荘」だ。

自噴する3源泉からなる5つの浴場がある。

中でも露天風呂は浴槽の底が源泉になっており、直接温泉が湧いているというから驚きである。

地獄温泉で一風呂浴びて、湧水の産んだ地元の豆腐と地酒で、軽く一杯。

「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅」この日本一長い名前を持つ駅を有する南阿蘇を楽しむ、ささやかなようでいて最上のぜいたくを満喫してほしい。