元アスキー編集長に聞く。電子書籍リーダー、どれがどういいの?




紙の本の電子書籍化が進む中、それを読むことができる端末のタブレット型パソコンや電子書籍リーダーが続々と発売されています。でも、いったい何がどう違うの? どれを選べばいいの? と疑問はつきません。



そこで、パソコン活用情報誌『アスキー・ドットPC』元編集長で、大正大学表現学部教授の大島一夫先生に、それらの違いや選ぶにあたってのポイントについて、詳しいお話を伺いました。



■電子ペーパーは活字本の読書にお勧め



――タブレットと電子書籍リーダーはどのように違うのでしょうか。



大島先生 電子書籍を読む場合、アップル社の「iPad(アイパッド)」やサムスン電子社の「Galaxy Tab(ギャラクシー・タブ)」のように、パソコンのようにも使える「タブレット端末」と、読書機能に特化した「読書専用端末」の2タイプがあります。



タブレット端末は「液晶ディスプレイ」でカラー表示され、写真や動画、電子雑誌の表示に強いという特徴があります。



一方で読書専用端末は、表示に「電子ペーパー」を使っています。液晶ディスプレイは全体が蛍光灯のように光って表示しますが、電子ペーパーは紙と同じで白い紙の上に印刷されたように文字が表示されます。



当然、光っているものを長時間見続けるより、電子ペーパーを見る方が目は楽でしょう。



――電子書籍リーダーの魅力を教えてください。



大島先生 2012年7月に楽天から発売された、カナダのkobo社の電子書籍リーダー「kobo Touch(コボ・タッチ)」を例にとると、文章をタッチしてラインを引く、検索、メモ付け、辞書引き、はたまたFacebook(フェイスブック)への投稿など、紙の本ではできない多彩な機能を備えている点でしょう。



こうした機能は機種ごとに違いがありますが、どの電子書籍リーダーでも、1台に大量の本を入れることができる、文字を自在に拡大できるなど、自分用に見やすくできる点は共通するメリットです。



■読書目的か、動画表示まで楽しみたいか



次に、主な電子書籍リーダーの特徴を大島先生に挙げていただきましょう。



・「kobo Touch(コボ タッチ)」楽天 標準価格7,980円(6インチ)

電子ペーパー機が低価格で手に入るというのは画期的。文庫版ほどのサイズで185グラム。小さめに感じますが、「どこでも読書用」なら持ち運びと見やすさのバランスが取れています。Wi-Fi機能を備えているため、コボ単体で専用ストアから電子書籍の購入ができます。ただし、使ってみると動作速度が遅いのが難点。読書以外での利用は快適とは言えません。専用ストアの電子ブックの充実も課題です。



・「Kindle(キンドル)」アマゾン 標準価格109ドル〜(6インチ、9.7インチ)

私は、アメリカのアマゾンから1万円程度で購入して使用していますが、コボ・タッチと比較するとだいたい同じことができます。端末から直接、電子書籍ストア「Kindle Store」にアクセスしてコンテンツを買えます。



2012年秋に登場と言われる「日本版kindle」を待ち、どの電子書籍リーダーを選ぶかを見据えたいところです。特にキンドルは、電子ブック形式の違いから、後で別の機種へ乗り換えるとなると無駄が多くなります。



・「Reader(リーダー)」ソニー 標準価格9,980円(Wi-Fiモデル 6型 PRS-T2)

1万円を切る値段で2012年9月に新型が登場しました。コボと同様に電子ペーパーを採用していますが、ページめくり時の画面のちらつきがほとんど気にならないと感じています。動きもまずまずで、専用電子書籍ストアのラインナップは2012年9月現在ではトップクラスです。

文庫本サイズで軽くて薄い5型モデル・標準価格7,980円(PRS-350)もあります。



・「GALAPAGOS(ガラパゴス)」シャープ 標準価格29,800円(WiMAX内蔵7型タブレットタイプ EB-A71GJ-B)

液晶ディスプレイでカラー画面。アンドロイドを使ったスマートフォンの仲間なので、スケジュール管理やOffice文書活用、オンラインゲームなどのアプリも標準搭載。総合電子書籍ストア「GALAPAGOS STORE」を利用します。



・「Book Place(ブックプレイス)」東芝 標準価格21,900円(7型タブレットタイプ DB50)

LED液晶ディスプレイでカラー画面。テキストデータから音声をつくる東芝独自の音声読み上げ機能を搭載しています。男性声か女性声を選択、読み上げる速度の調整もできる、満員電車などで重宝しそうな注目の機能です。本などのソフトは、「BookPlaceストア」から購入します。



大島先生は、最後にこうアドバイスをします。

「紙の本と比べた場合、読みやすさの点で、電子ペーパー表示の電子書籍リーダーはタブレットより本のレベルに迫っています。写真集や漫画、動画表示までいろいろと使いたい場合は液晶ディスプレイの製品を、読書目的、それも活字本の読書を考えるのであれば、電子ペーパーをお勧めします。今後、さまざまな電子書籍リーダーが登場しますが、この原則は不変でしょう」



電子書籍の魅力、今後の動向がますます気になります。読書時の快適性、価格、目的、ストアへのアクセス方法などから、自分に合った電子書籍リーダーに出合いたいものです。



※製品価格など、2012年9月現在の情報です。







監修:大島一夫氏。『週刊SPA!』(扶桑社)、『週刊アスキー』(アスキー・メディアワークス 以下同)の創刊を経て、『アスキー・ドットPC』編集長、『月刊アスキー』編集長を歴任。現職は大正大学表現学部教授。『タッチ1秒検索術』(アスキー新書 800円)、『すぐわかる40歳からのiPad』(アスキー・メディアワークス 1,449円)を監修。「おおやまかん」の名前で、『アスキー・ドットPC』誌上で『毎日使えて仕事に役立つタッチ1秒検索術』を連載中。



(岩田なつき/ユンブル)