大分・長湯温泉のシュワッと泡立つラムネ温泉はラムネの味がする?

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温泉湧出量が日本一で、別府や由布院など有名温泉地が多い大分県。

そんな温泉王国で、高速道路や鉄道が通らない山あいにありながら、多くのファンをもつのが炭酸泉で知られる長湯温泉だ。

その泡状の温泉水から別名「ラムネの湯」ともいわれている。

今回、名前のごとく、お湯はラムネの味がするのか調査してみた。

炭酸泉とは炭酸ガスを多く含む温泉のこと。

お風呂に投入するとシュワシュワ泡立つ入浴剤があるが、簡単にいえばあのようなものが天然で湧いているわけだ。

また、温泉法で大きく種類が分けられており、温泉1リットルあたり1,000ppm以上の炭酸ガスが溶け込んだものを炭酸泉、1,000ppm以下は炭酸水素泉とされている。

長湯温泉には300〜1400ppmの炭酸泉と炭酸水素泉が混在し、源泉は30度から50度程度までと温度帯は幅広い。

マグネシウムやカルシウム、鉄分などの成分を含んだにごり湯が多く、浸かれば心臓病、飲めば胃腸に効くといわれている。

この温泉地が広く知られるようになったのは昭和初期のこと。

『鞍馬天狗』や『天皇の世紀』で知られる文豪・大佛(おさらぎ)次郎が、湯の中に小さな泡が立つのを見て「ラムネの湯」と名付けたのがきっかけだという。

そのラムネの湯を日帰りで体感できるのが、長湯温泉のシンボル的存在である「ラムネ温泉館」だ。

館内にあるラムネの湯の炭酸濃度は1380ppm。

まるでサイダーをコップに注いだ時のように、肌にびっしりと泡が付着する。

また、隣には42度の「にごり湯」もあるが、泡はそれほど目立たない。

ふたつの違いを施設の人に尋ねてみると、「ラムネの湯は温度が32度と低温なんです」という答えが返ってきた。

炭酸泉を瓶入りサイダーに置き換えて見ると、低温である理由が分かる。

サイダーを高い所から勢いよくコップに注ぐと激しく泡が吹き出て、後に残るのは気の抜けた液体だ。

また、気温が高い場所に放置しても炭酸は蒸発してしまう。

つまり、高濃度の炭酸ガスを含む温泉でも、浴槽に達するまで時間がかかる、もしくは温度が高いと蒸発してしまう。

ラムネ温泉は自家源泉で浴槽まで近いうえ低温なので、目に見えるほどの大粒の炭酸ガスが残っているというわけだ。

ちなみに、ラムネ温泉館の湯は、炭酸が抜けやすいとされる40〜50度の高温でも高濃度の炭酸を含んでいるのが特長。

たとえ泡が見えなくても、炭酸ガスの効能は期待できる。

前述のにごり湯も炭酸濃度は、911ppmと意外なほど多かった。

効能はさておき、とにかく湯が心地いい。

硫黄の匂いがほんのり漂い、全身に湯がじわっと染みいる感じ。

炭酸ガスが血行を促進するせいか、湯上がり後も体はポカポカだ。

温泉施設や旅館ごとに源泉が違うので、泡の感じや湯色の違いも楽しめる。

長湯温泉が「日本一」といわれる理由は、個性の豊かさにもあるのだろう。

さて、ラムネ温泉の謎が解けたところで、いよいよ温泉水を飲んでみた。

ん、確かに舌の上がシュワシュワするけれど、鉄っぽくて少し塩味もする。

これはラムネじゃないなぁ。

では、砂糖を入れたらサイダーみたいな味になるのか?長湯温泉観光案内所の坂田まちえさんに聞いてみると、「お水と炭酸泉は成分が違い、炭酸泉は炭酸ガスの他に塩分や鉄分などいろいろな成分が含まれているので、サイダーみたいな味にはなりませんよ」とのこと。

なるほど。

さらに、胃腸病や便秘に効能があるといっても「お腹がゆるくなることがあるので、コップ1杯程度をゆっくり飲んでくださいね」とアドバイスまでいただいた。

ラムネの味はしなくても、これはやはり、おみやげに持って帰りたい。

うれしいことに長湯温泉では各温泉施設やヨーロッパを思わせるレンガ造りのしゃれた公営飲泉場で温泉水をくむことができ、持ち帰りは自由。

ペットボトルに密封して冷蔵庫に保管すれば5日間は持つそうだ。

ただし、飲む際はくれぐれも砂糖は入れないように。