ITの力で顧客企業の業務高度化を実現する

WOMAN’S CAREER Vol.94

株式会社NTTデータ 角田仁美さん

【活躍する女性社員】子育てしながらグローバルな仕事に取り組む角田さん


■ITを用いて新しい価値を生み出し、人の役に立てることがやりがい

「お客さまやプロジェクトメンバーなど、さまざまな人と検討を重ねた結果でき上がったシステムについて『これが欲しかったんだ』『すごく助かったよ』とお客さまから直接感謝の言葉を頂ける。そうして人の役に立っていることを実感できることや、新しい価値を生み出せることに楽しさを感じています」

文系出身のSEとして入社した角田さんは、システム開発に携わるやりがいをこのように話す。入社以来10年あまり携わってきたのはERPおよびBIシステムによる顧客業務の高度化。ERP(Enterprise Resource Planning)とは、会計、受注・販売管理、在庫管理、生産管理など企業の基幹業務をサポートする情報システムのこと。ここに蓄積される膨大なデータなどを分析・加工して企業の意思決定に活用するためのシステムがBI(Business Intelligence)だ。BIを用いて財務データを帳票に抽出する仕組みや、在庫状況などサプライチェーンのデータを必要な形で抽出できる仕組みを作ることで、業務の効率化・高度化が可能になる。
「お客さまがITを活用してどのような業務を達成されたいのかを把握し、それを実現するための仕組みを提供していくのが私たちの役割です。業種や事業形態によってニーズは異なるので、お客さまの業務をうかがいながら仮説を立て、お客さまと議論を繰り返しながら設計に落とし込んでいくのです。プロジェクトが始まる前にはお客さまのビジネスについて再確認するとともに、日ごろからビジネス書をはじめ雑誌や歴史書など幅広い書籍を読んでヒントを得るようにしています」

1つのプロジェクトにかかる年数は1〜2年。角田さんはいくつものプロジェクトに携わる中で担当システムの技術や適用領域についての知識を深めるとともに、顧客のニーズをとらえ、形にする提案力や交渉スキルを磨いてきた。中でも大きな経験となったのは、入社6年目から担当した大手飲料メーカーのERP・BI導入プロジェクト。BIの要件定義(※)から設計、構築、導入、保守・運用までを一人で担当し、システム開発の上流工程から下流工程に至る一連の動きをすべて経験した。
「当社の場合、数人〜数百人単位でプロジェクトチームを組んで開発を進めることが多いため、1つのシステムを一人で担当する機会はあまりありません。しかも、複数のお客さまとの合同プロジェクトで、通常よりも短納期が求められました。削るべき機能を取捨選択しつつ要求に応えるために、お客さま、外部の関係者、ほかの機能の担当者などと調整・検討を重ねるのは大変でしたが、何度もお客さまに仮説をぶつけてよりよい案を作り上げることができ、提案のアプローチも把握できました。この経験を経て、次に担当したプロジェクトでは、より提案内容の精度を上げられたと思います。また、このプロジェクトをきっかけにお客さまとの関係が拡大しましたし、導入されたBIは現在も使われており、やり遂げてよかったなと思いますね」
※システムやソフトウェアの開発において、実装すべき機能や満たすべき性能などを明確にしていく作業。

さらなる成長の機会となったのが、7年目から担当した大手食品メーカー向けのプロジェクト。課題に感じた英語力を伸ばし、初めての海外出張でも無事に業務を進めることができたのだ。
「日本をはじめ世界5カ国の工場や事業所のサプライチェーンを“見える化”するための仕組みをBIで提供するプロジェクトでしたが、妊娠していたこともあり、当初は海外出張にも英語でのやりとりにも携わる機会がありませんでした。ところが、9年目に育休から復帰後、保守・運用担当として各国のお客さまの拠点から入る問い合わせに対応することになった際、英文メールに対する返信をスムーズに書けない上、初めて参加した英語での電話会議でひと言も話せなかったのです。危機感を感じてすぐに英会話スクールに申し込み、週1〜2回、朝7時からのレッスンを受けるように。加えて、同僚に英文メールへの返信内容をレビューしてもらうことを続けました。そして、同じお客さまの新しいプロジェクトで10年目の11月と翌年の2月に各1回、設計仕様の擦り合わせとユーザートレーニングのために1週間ずつブラジルへ。仕事の話はもちろん、会食など仕事以外の時間のコミュニケーションもスムーズに進めることができ、成長を感じた瞬間でした」

また、子育てをしながらでもグローバルに仕事ができることも実感したという。
「育休から復帰して以降、『グローバル案件に携わっているのだから、チャンスがあれば海外で仕事をしたい』と思っていました。そのチャンスを与えてくれたリーダーやメンバーにも、『胸を張って行っておいで』と送り出してくれた夫にも感謝しています」

そして現在、角田さんは新たな仕事に挑戦している。担当顧客の情報システムや組織全体の効率化のための計画立案を担うPMO(Program Management Office)という仕事だ。
「プログラムとはプロジェクトの一つ上の概念で、お客さまの業務や情報システムの未来を描いた大きな絵と言えます。それを描いて実現のためのロードマップを作り、プロジェクトに落とし込むのがPMOの役割です。プロジェクト参画時に上司から言われたのは『PMOは人間性が勝負だ』という言葉。お客さまに信頼していただき、その中できちんと実現可能な仕組みを作っていくスキルや交渉力が求められるということなのだと思います。自分にできることにはまだ余地があると思いますので、社内のPMO有識者や上司にアドバイスを請いながら、これまでの経験や培ってきたスキルをさらに発展させていきたいと思います」

1児の母でもある角田さん。育休から復帰後は、子育てと仕事を両立するために社内の制度を活用してできるだけ無駄な時間を作らない工夫もしている。
「社内での業務に集中する日とお客さま先で打ち合わせを重ねる日をできるだけ分けたり、テレワーク(在宅勤務)を活用したりして移動時間を極力減らすようにしています。今は目の前の仕事に精一杯ですが、海外に常駐する案件にも興味があります。将来は、子どもを連れて海外に赴任してみたいですね」