自分が過去のあの日、何を食べ、何を着て、どこに誰といたのか。

このような記憶を詳細に、しかもすべて覚えている、という人間はほぼいないといっても過言ではないでしょう。しかし今回ご紹介するある男性は、過去自分に起こった出来事をまるでついさっき起こったことかのように、詳細に覚えています。

海外サイト『dailymail.co.uk』に掲載されているその男性の名は、Aurelien Haymanさん。弱冠20歳の彼は、「過去に経験したすべての記憶を覚えている」という世にも珍しい能力を持った、『hyperthymesia』です。

Haymanさんが、自身の特殊な能力に気がついたのは、14歳の頃。「それまでは普通の人間と同様、過去の記憶は曖昧なものでしかなかったのに、あるときふと、数年前に起こった事を詳細に思い出せることに気がついたんだ」

しかし、詳細に、とはいえ、Haymanさんはどの程度まで覚えているのでしょう。そこで、本人にこんな質問をしてみました。

「2006年10月1日はどんな日だった?」

すると彼は、「その日は女の子をデートに誘ったけれど拒絶された」「Killersの『When you were young』を聴いていた」などの自身に関する事柄はもちろん、「日曜日だった」「曇り空だった」などということまで事細かく語りだしたのです。

それだけではありません。彼はその前日の土曜日に着ていた洋服の色や、数日前の木曜日に停電が起きたなどということまで、完璧に覚えていました。

このような能力を持つ『hyperthymesia』と呼ばれる人々は、世界にたった20人しか存在しないといわれています。Haymanさんはそのうちのひとりであり、イギリス人では唯一の存在なのだそう。だからもちろん、彼の家族にも誰ひとり同じ能力を持つ人間はいません。

普通の人は、右脳の前頭葉から、自身の長期的な記憶を検索します。しかしHaymanさんの場合、言語をつかさどる左脳の前頭葉や、脳の奥の後頭部部分などでもこれを行えるため、記憶容量が増加し長期的に記憶を維持することができるのです。

記憶を思い起こす際になにかコツやテクニックがあるのかと問うと、そんなことは一切なく、すべて無意識に行っているのだと答える、Haymanさん。それは例えるならば、本棚から本を探して取り出すようなことなのだとか。

記憶の本棚……自分を振り返ると、油断したらすごい爆弾を手にとってしまいそうで、ちょっぴり寒気が……。そう考えると、HaymanさんにはHaymanさんの苦悩が、もしかたらあるのかも? いずれにしても、所詮凡人には縁の無い能力、ほんの少し羨ましくも感じてしまいますよね。

(文=田端あんじ)

参考元:dailymail.co.uk( http://goo.gl/1RVLn )