■遠藤本人から、ポスト遠藤に指定された柴崎岳
 少し前の話題になりますが、サッカー日本代表遠藤保仁本人が、「ポスト遠藤」として、鹿島アントラーズの柴崎岳を指名しています。鹿島が誇る79年組と同世代のベテラン遠藤ですが、今も日本代表の中心選手として君臨し続けております。しかし、ブラジルW杯は2年後ですし、年齢を考えても、遠藤のバックアッパーの確保は必須事項です。私個人の考え方で言えば、ベテラン選手とはいえ、プレーを見る限りでは、衰えはまだまだ先であり、ブラジルW杯もザックジャパンのスタメンは遠藤が務める可能性が高いと思っています。しかし、今後、怪我等に悩まされる可能性もありますし、年齢的にパフォーマンスが急激に落ちる可能性も考慮する必要はあります。現状では、遠藤が出場出来ない場合、代役を十分に務める事の出来る選手はいません。そのため、ザックジャパン発足以来、ポスト遠藤探しは叫ばれておりましたが、ポスト遠藤としてこれまで名前が挙げられてきた柴崎が、今回、遠藤に直々に名前を挙げられました。

 確かに二人のプレースタイルは似ています。中盤でのタメの作り方等はそっくりです。両足も二人とも器用に扱えますし、遠藤本人が語るとおり、熱くなることなくクールにパスを回す姿は、とても似ており、共通点は多いです。


■柴崎の可能性
 柴崎は向上心が非常に高い選手です。現時点で遠藤に劣っているとは思いますが、決して憧れの存在で終わらせるつもりはないでしょう。鹿島には、素晴らしいお手本がたくさんあります。昨季の柴崎は、センスの高さと物怖じしない大物感は感じさせるものの、プロとして成長する余地は存分にありました(高卒一年目の選手なので、当たり前ですが)。柴崎の凄いところは、吸収力がものすごく高いことです。鹿島には良いお手本となる選手がいるので、そのプレーを盗む事で、着実に成長しています。

<守備面での進化>
 プロ入り後の柴崎は線が細い印象がありました。ポジショニングのセンスで、見事なパスカットを見せる反面、相手にプレスにいっても、相手からボールを取りきれる場面は少なかったです。そこで、自身に足りないフィジカル的な部分を強化するために、この1年間で体重を5kg増やし、そして小笠原主将のボールへのアプローチ方法を研究する事で、最近では相手に体を入れて、ボールを奪いきる場面が見られる様になりました。
 また、ヴィッセル神戸戦では、自身の出場停止もあり、本田拓也が代わりにスタメン出場を果たしました。その際、本田のプレーを観察する事で、CBと連携した守り方についてヒントを得た様です。今後も、本田のプレーは目で追っていくと思いますので、元々優れていた守備時のポジショニングについても、更なる成長が見られるでしょう。

<攻撃面での進化>
 元々、高卒レベルを遥かに凌駕する攻撃センスを持っていた柴崎ですが、一年目の昨季はゴールに絡むシーンは少なかったです(ナビスコ準決勝名古屋戦の決勝ゴールには痺れました!)。しかし、今季はボランチの位置から得点に絡むプレーが増えてきています。
 柴崎が良くなった点として、昨季まではパスを出して、その場で止まっていた事が多かったですが、今季はパスを出した後のパス&ゴーの動きが改善された点が挙げられます。日本平でのアウエー清水エスパルス戦で、中盤ダイヤモンド型布陣のアンカーとして出場した際に、相手のプレスにさらされて思うようにプレー出来ず、悔しい思いをしました。しかし、試合後のインタビューでは、Jに入って初めて、自身が標的となるプレスを受けて『ありがたい事。それを上回る事が出来れば、選手としてのレベルが上がる』と答えています。パス&ゴーの動きの改善の陰には、自身が憧れの存在と語る本山の存在もあるのではないでしょうか。今季は、まるで本山の様なファンタジー溢れるラストパスを名古屋戦で披露したり(興梠のゴールをアシスト)、空いたスペースに走りこんで、受けたボールを見事なタッチでDFの間を切り裂き、ラストパスを送った柏戦(レナトのゴールをアシスト)等、得点に絡むプレーが確実に増えてきています。この成長を続けていけば、更に得点に絡むプレーは増えていくでしょう。ミドルシュートにも非凡なものがありますし、セットプレーも練習では良いボールを蹴っており、今後キッカーを務める様になるでしょう。今後もその成長には目が離せません。

 確実に進化を続ける柴崎は、今や鹿島アントラーズの中盤の要です。前述の通り、吸収力の優れた選手ですので、このまま成長を続ければ、我々の予想を上回って、ブラジルW杯時には、日本代表のレギュラーとして、プレーしているかもしれません。将来、日本を背負う、柴崎岳の活躍に、今後も注目していきましょう!

 
 最後まで読んでいただいてありがとうございます。昨季の浦和レッズとのナビスコカップ決勝は、観客の立場でも身震いする様なビッグマッチでしたが、高卒1年目の選手とは思えないくらい、堂々とプレーしていました。ボランチとしてプレーするだけでなく、試合終盤には青木の退場もあり、SBとしてもプレー。バー直撃の惜しいミドルシュートを放つなど、末恐ろしいプレーを見せていました。ビッグマッチでの活躍は折り紙つきなので、ナビスコカップ準決勝2nd legでも、小笠原主将の出場停止を埋める活躍を見せてくれるに違いありません!