夜間でも明かりが煌々と点いているオフィスビル。中で働いている人がいる

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40代のさいたま市職員が、年1873時間の残業で783万円もの手当を受け取っていたことがネット上で話題となっている。これを報じたJ-CASTニュースの記事には、3日間でツイッターでの引用が900、フェイスブックでの言及も500近くにのぼっている。

この記事に対しては、問題とする部分が的外れという指摘も相次いでいる。独立行政法人 労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎・統括研究員は、2012年9月21日のブログでこう批判している。


「この『改革』大好き政治家と、そういう政治家大好きなマスゴミさんたちは、長時間労働自体には何の問題意識も向けず、土日祝日まで長時間労働をさせるぐらいなら人手を増やせというようなことも言わず、ただとにかく、法律に基づいた正当な時間外手当を払ったことがケシカランケシカランとわめき立てるわけなのですね」

それだけ長時間働いたら「省エネモード」にならないか


翌22日にもブログ「kojitakenの日記」が、「この記事には呆れ返った。というより怒り心頭に発した」と書き出し、J-CASTの記事やこの問題を指摘したさいたま市議が「『多すぎる時間外労働手当』のみを問題視している」と強く批判している。


しかし、記事が問題視しているのは、さいたま市の説明に矛盾があるのではないか、という点だ。市は取材に対し、長時間残業が発生した理由を、


「この職員が震災対応に追われ、土日祝日も働いていたことが大きい」

と説明しているが、実際には前年度にも別の部署で年1843時間分、747万円の手当を支給された人がいることが分かっている。長時間残業を容易に認める組織風土が、市にはあるのではないだろうか。


この点については現役職員とOBから聞いた話を、市議が21日のブログに書いている。市は公務員の人件費を削減する一方で、年度末の「予算の使い残し」を時間外手当に流用して各部局に配分している疑いがあるというのだ。


また、市議は「午前8時半の開庁前には出勤し、24時まで残業する生活を毎日のように続けていたら、ほとんどの人は体を壊すだろう」と職員の健康状態を気遣いつつ、


「もしくは、それでは体が持たないから?省エネモード?にならざるを得ない。会社員時代の自分の経験からいって、(このような働き方では)日中の仕事の効率は上がらない」

として、職員の実際の働き方や、これを許した職場のマネジメントを含めた検証の必要性を匂わせている。「(市議は)長時間労働自体には何の問題意識も向けず」という指摘は当たらないだろう。


「ブラック一般人」がブラック企業現象を支える?


一方で、やはり手当の金額の多さ自体に驚く読者コメントも少なくない。


「別段残業時間には驚かないが、普通に支給されちゃうんだって感じ」

「そもそも時間外の時給が高すぎだろ」

月100時間以上の残業をこなす人は、民間企業でも実際に存在する。しかし、裁量労働制などによって満額を手当として受け取る人が少ないのが現実だろう。


満額を受け取れていないケースには、経営の厳しい中小・零細企業に勤める人もいるが、残業代の上限を決められている超大手企業の社員もいる。


こういう人たちには、長時間の残業をすべて申請して支払われるさいたま市の現状を、率直に驚きとして受け取っている。この点について濱口氏は、


「ブラック企業現象を草の根で支えるブラック政治家とブラックマスゴミとそしてそういう記事を読んで『そうやそうや、そんな奴らに残業代なんか払うな』と叫び立てるブラック一般人たちのがっちり組んだスクラムがあるわけなんでしょうなあ」

と批判している。