自動車部品編

業界トレンドNEWS Vol.145

自動車部品編

海外拠点で働く技術者も増加傾向。これからの注力分野や事業戦略は?


■「モジュール化」が進んで部品の種類が絞られ、自動車メーカーとの関係性が変わる可能性あり

日本自動車部品工業会によると、上場している自動車部品メーカー82社の2011年度における総売上高は19兆959億円。11年(18兆9801億円)に比べ、わずかに増えた。上半期は、東日本大震災による生産設備の損傷・部品供給の途絶・電力不足による稼働日の土日シフトなどが影響して業績が落ち込んだが、下半期には回復。自動車メーカーの在庫積み増し、エコカー補助金の効果などが追い風となり、前年を上回る売り上げを達成した。12年度は各自動車メーカーが北米や新興国を中心に増産計画を打ち出しており、日本自動車部品工業会では、対前年比8%増となる20兆6364億円の売上高を予測している。11年度、震災やタイの洪水によるコスト増で減った利益率も、12年度はある程度まで回復する見通しだ。

これまで日本の自動車部品メーカーは、特定の国内自動車メーカーときめ細かな連携をとることで、質の高い部品を生産してきた。しかし、「ケイレツ(系列)」という言葉に象徴される緊密な関係は、自動車メーカーが進める「モジュール化」によって変わりつつある。部品メーカーから見れば、モジュールが多用されて部品の共通化が進むと、部品の種類が大幅に減って生産を請け負う部品メーカーが絞り込まれる。東日本大震災やタイの洪水でサプライチェーンが寸断された経験から、各自動車メーカーが部品の供給企業を分散化していることもあり、今後は「ケイレツ」の枠組みを超え、自動車メーカーと部品メーカーの関係が見直される可能性がありそうだ。

海外での開発体制強化も、部品メーカーにとって重要な課題だ。今や、全世界における自動車販売台数の半数以上を、新興国市場が占める時代。各自動車メーカーはこれらの地域に向け、低価格な「戦略車」を次々と投入している。そこで自動車部品メーカーにも、各地の顧客ニーズや道路状況、環境規制などに適した部品を、価格を抑えながら提供することが求められているのだ。従来は、国内で開発して現地で生産するケースがほとんどだったが、今後は開発拠点の海外移転が進むだろう。これに伴い、海外で働く技術者を増やそうとする動きも活発化することが予想される。例えばデンソーは、海外拠点で働く技術者を現在の2400人から、15年までに4800人まで増やす計画を発表している。

電気自動車、ハイブリッド自動車関連の動きも注目。これらの「エコカー」は急激に需要が伸びており、関連部品の開発・生産も急ピッチに進んでいる。また、従来はエコカー関連の部品産業は国内に集まっていたが、今後はこの分野でも海外生産が拡大しそう。例えば、パナソニックはヨーロッパで受注機会が広がると判断し、スロバキアでエコカー用電池の量産に着手すると発表した。各社のグローバル展開に関するニュースは、業界志望者ならぜひチェックしておきたい。

利益確保のため、合理化を進めることも大切。国内では、売れ筋商品が小型車など低価格帯に移ったことで、部品単価が下落。海外でも、新興国で生産設備に投資をしながら、低価格戦略車向けの安価な部品を開発・提供する必要がある。そこで各社は、「安価な海外部材の活用」「人件費の安い地域での生産を進める」「開発期間の短縮や、共同開発による開発費の削減」といった取り組みを進めているところだ。