中小企業がお金を借りる話




大小を問わず、どこの会社さんでも同じですが「お金がなくなったら」おしまいです。特に中小企業の場合には、「PLシート(損益計算書)を見ないでCF(キャッシュフロー)を見て経営しろ」とはよく言われます。が、横文字なんか使わなくても、その意味するところは「今お金がいくらあるかが一番重要」ってことです。



でも手持ちのお金が足りない! というピンチの時があります。その時には借りないと仕方ないんですが、これが結構面倒です。零細企業社長の筆者の経験を書きます。



会社でお金を借りるとなると、借り先は銀行と相場が決まっています。ところが銀行もさるもので、そんなにホイホイお金を貸してくれるわけではありません。特に、筆者のような零細企業だとなおさらです。こういう時には税理士さんに相談するのがベストです。



月々15,000円〜30,000円ほどの顧問料を取られますが、決算期やこういう借金の段取りなどでは税理士の手を借りると面倒なことが最小限で済みます。





■借金の方法

お金を借りる方法はいろいろありますが、筆者の場合、担保も何もない人間なので(笑)、会社の実績だけで銀行に行かなければなりません。もちろんその実績が良くないのでお金を借りるわけなんですが。



税理士さんに相談してみると「セーフティーネット」を利用してみるといいのでは?ということでした。これは、政府が中小企業向けに融資を後押ししているもの。『セーフティーネット保証制度』(5号)と言います。



「指定業種に属する事業を行っており、最近3カ月の間の月平均売上高が前年同期比5%以上減少の中小企業者」(ほかにも条件があります)が対象で、これの認定を受けると「保証付きの融資」を受けることができます。



有り難いのは第三者の保証人が不要なことです。借金の話になると「保証人はどうするんだ」が問題になります。この融資の場合には、借金を借りるのは「法人」で、保証人は「社長」で済むのです。





■保証付きの融資って?

「保証付き」というのは、信用保証協会がその借金に関して保証してくれることです。例えば、A銀行から借金をして、会社に何かあって借金が返せなくなったりしても、A銀行は信用保証協会からその貸した分のお金を戻してもらえるということです。



銀行にとっては、会社に何かあっても「戻ってくる」わけで、そりゃ貸しやすいですよね。





■まずは指定業種か?

売り上げが減少していても、指定業種に属していないと、この制度は利用できないのですが、大丈夫です。大抵の業種は指定業種になっています。例えば、筆者の会社は一般には「IT関連業種」なのですが、これもちゃんと入っています。



■必要書類をもらいに行く

会社の登記上の住所、その地方自治体の担当部署に行きます。筆者の会社の場合は文京区なので文京区役所に行きました。文京区役所では経済課産業振興係が担当です。地下二階の薄暗いところでしたよ(笑)。ちなみにどこの自治体でも、例えば商業課だとか商工担当課だとか、そういった名前の部署が担当しているようです。



ここで認定に必要な書類をもらい、いったん会社に戻ります。





■書類をそろえて出す

必要なのは売り上げが下がっているという証明書類です。まずは直近の決算書ですね。それに直近までの会社業績の試算表。小さな会社の場合、試算表を作っていないことが多いです。筆者も作っていませんでした(笑)。こういう時こそ税理士さんの出番です。



税理士さんにお願いするとすぐ作ってくれます。この試算表はこの後、金融機関に行く時にまた必要になります。担当課でもらった書式に必要事項を書き込み(売り上げが5%以上下がっていることを書く)、前述の証明書類を持って、再度担当課に。



ここでチェックしてOKであれば、「セーフティー保証制度5号認定業者」になります。認定書をもらって帰ってきます。金融機関へのあっせん書を出してくれるところもありますから、もしもらえるのであればそれももらいます。



筆者の場合はもらってきました。





■あっせん書をもらうのに必要な書類

・あっせん書申込書

・法人の印鑑証明書 1通

・代表者個人の印鑑証明書 1通

・直近事業年度の法人税申告書、決算書および法人事業概況説明書

・法人都民税の納税証明書原本1通

・法人事業税の納税証明書原本1通

・法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)原本1通



(例です。各自治体によって変わります)



■銀行に行くよ

いよいよ銀行です。あっせん書を出してもらう場合には「どこの銀行に行くか」を担当課で聞かれます。あらかじめ銀行を決めておくといいでしょう。



さて「すみません。お金貸してくださーい」ということで銀行に行きます。もっともこういう切り出しだと「バカじゃないの」と思われますから、「融資を受けたいんですが……」と言います。すると担当者を紹介してくれます。



借りたい金額、なぜ借りたいのか、また担保の有無などを聞かれます。セーフティーネットの認定書とあっせん書を出すと話は早いです。筆者の場合、あっせん書を出したら、「なるほど。保証協会に図りますので必要書類を持ってきてください」とあっと言う間でした。



初めての取引の場合には「御社のことを知りたいので会社のパンフレットなどはありますか」などと聞かれます。零細企業なのでそんなもんあるわけないですね(笑)。「ああ、会社のパンフレットってこういう時に要るんだ!」とひとつ勉強になりました。



■銀行に提出する書類

・セーフティーネット5号認定書

・あっせん書

・借入申込書

・法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)原本2通

・法人都民税の納税証明書原本1通

・法人事業税の納税証明書原本1通

・消費税納付書のコピー

・直近3期分の決算書

・企業概要書

・法人の印鑑証明書 2通

・代表者個人の印鑑証明書 2通

・試算表

・事業計画書



(ほかに個人情報の扱いに関する同意書などの書類がこまごまあります。また銀行によって変わります)



ね、うんざりするでしょ(笑)。各書類が2通になっているのは、銀行から信用保証協会に出す書類に添付するためです。信用保証協会用と銀行用というわけです。登記簿謄本やら印鑑証明書やら、何度法務局と区役所に足を運ぶんだって話ですよ。



■書類を出して面談

書類を全部そろえたら銀行に持って行きます。おそらくここまででヘトヘトのはずです(笑)。書類を出すと、担当者から面談の日取りが連絡されます。「ヘイヘイ」と出て行くと、事業計画に関する説明などを求められます。



要は「返せるんだろうな? 返す気あるんだろうか?」ってことです。また、「この金額で申し込みしても信用保証協会の方で削られて、実際にはこれぐらいになりますかね」みたいな(嫌な)話をされたりします。あるいは「信用保証協会で削られると思うので、その分足して、金額膨らませて申し込みましょう」みたいな話をされるかもしれません(笑)。



■OKかどうかの判定

面談が終わって申し込みが正式に済んだら、もう後は「まな板の上の鯉」です。貸してくれるかどうか判定を待つ身です。銀行から信用保証協会に書類が回り、そこで審査されてOKであれば「保証が付き」ます。これが下りると、銀行はお金を貸してくれます。



そりゃそうですね。だって基本、損しないんですから。判定にかかる時間は、繁忙期かどうかによって違いますが、大体1週間から10日で銀行の方に結論が伝えられるようです。長くても2週間ぐらいでしょう。信用保証協会からOK→銀行からOK→借入金の契約で、2週間から3週間。



その後やっとお金が振り込まれます。



筆者は初めて「会社でお金を借りる」ということをしてみましたが、もう本当にフラフラになりました。「人生いくつになっても勉強だ」と言いますが、こういう勉強はあまりしたくないものです(笑)。大きな会社の経理部長さんは本当に大変だと思いますよ!





(谷門太@dcp)





税理士さんの顧問料はそれぞれ違います。あくまで筆者の経験です。