ロボット工作の世界のお話




アニメや漫画で子供のころからロボットに親しんでいるので、日本人ほどロボットが好きな国民はいないでしょう。ロボコンやロボカップなど、自作ロボットの性能を競う大会も頻繁に行われています。ホビーとしてのロボットについて、ヴイストン株式会社、代表取締役の大和信夫さんにお話を伺いました。



ヴイストン株式会社は2000年に設立されたホビーロボット開発の老舗であり草分け的存在です。現在でも教材用ロボット、二足歩行ロボットなどの開発、販売を行い、またホビーロボットの流通業者として日本一を誇る会社です。



――ホビーとしてのロボットの世界について知りたいのですが。



大和代表取締役 そうですね。みなさんがロボットとして想像されるのは二足歩行のロボットだと思いますが、ホビーとしてのロボットというとそればかりではないんですよ。多足歩行のもの、台車型のもの、アーム型ロボット、教材ロボットなど、多種多様なんです。



■ロボットホビーは「深化」している



――ロボットバトル大会などは今でも盛り上がってるんでしょうか。



大和代表取締役 今では落ちついていますね。最盛況だったのは2005年〜2006年にかけてだと思います。そのころは10万円以上もするロボットキットが年間10万台以上は売れていたんじゃないでしょうか。



――スゴイですね。今、大会が落ち着いているというのはなぜなんでしょうか?



大和代表取締役 ひとつはユーザーの深化だと思います。技術を高めたい人はどんどんそれを突きつめていきますし、初めて参加する人が普通のキットで入って来ても予選突破できないような状況になってしまいました。で、初心者に優しくしようとすると、技術を突きつめている人は満足できない。また、どちらも満足するような大会にしようとすると、レギュレーション(大会ルール)を設定するのがとても難しくなる、と。こういうことが起こってるんですね。



――なるほど。ではホビーとしてのロボットの世界は初心者が入りにくいんでしょうか?



大和代表取締役 誤解しないでほしいんですが、ホビーとしてのロボット工作は一般に浸透していっていると思います。事実、『ロボカップ』*ジュニアの部などは回を追うごとに参加人数が増えています。なので将来のロボット業界を担う人達は広がってきてるんです。



――では単純にロボット大会などを目的とした時代が過ぎたということでしょうか。



大和代表取締役 そういう見方もできるでしょうね。なので「深化」と言えるんではないでしょうか。二足歩行型ロボットばかりが売れる時代ではないと言いますか。弊社では、研究、教育、ホビー、エンターテイメント、この4つの分野でロボットを開発、販売しています。



■教材用ロボットがヒット!



――ヴイストンさんで売れているヒット作のロボットというと何になるのでしょうか。



大和代表取締役 みなさん意外に思われるかもしれませんが教材用のロボットなんですよ。『ビュートレイサー』(2,940円)という商品です。センサーが地面のラインを読んで、その通りに走るというクルマ型ロボットです。付属ソフトもGUIで、ブロックを組むように簡単にアルゴリズムを作成できます。中学校の技術家庭科の授業に対応したものですね。



――これは売れているんですか?



大和代表取締役 おかげさまで年間に数万セットを販売しています。



■多足歩行ロボットにマジのアーム型ロボット



――ほかに売れている製品はありますか?



大和代表取締役 多足歩行ロボットも最近人気なんですよ。近藤科学株式会社さんの『KMR-4』(49,875円)は売れていますね。これは4足歩行ロボットです。六足歩行ロボット『KMR-M6』も出ています。4足歩行のKMR-4に方が人気がありますかね。



――みなさん二足歩行にこだわらないんですね。



大和代表取締役 二足歩行の場合はですね、例えばカメラを乗せたり、背中に何か背負わせたりするとバランスが悪くなったり、動きが悪くなったりしがちなんですよ。何でも二足歩行ロボットでやるんじゃなくて、やりたいことによってロボットを選んでいるということでしょうね。ほかにもですね、なんとあのデンソーウェーブさんが出したアーム型ロボットがあるんですよ。



――デンソーウェーブさんと言いますと?



大和代表取締役 一般の方はあまりご存じないかもしれませんが、デンソーウェーブさんは本当の産業用ロボット、産業用コントローラーなどを製造しているメーカーです。そのデンソーウェーブさんがホビー用のアーム型ロボットを出されたんです(笑)。



――では本域の製品なんですか?



大和代表取締役 面白いのは、このアーム型ロボットを動かすためのソフトを作るとですね、そのプログラムは本当の産業用ロボットアームも動かせるんですよ(笑)! なので研修にもそのまま使えるという注目の製品なんです。205,800円なんですが、こうした商品としては画期的に安いと思います。そのリーズナブルな点がウケているんですね。



――産業用ロボットアームのシミュレーションができるというのはスゴイですね。



大和代表取締役 しかも注目を浴びて売れていますから(笑)。なのでホビーとしてのロボットは深化して、かつ本物志向になっていると言っていいかもしれないです。



■初心者にお薦めのロボットは?



――まったくの初心者が「二足歩行ロボットを趣味で始めたい!」と思ったとすると何を買えばいいでしょうか?



大和代表取締役 そうですね。弊社の製品でしたら『ロボビーナノ』はどうでしょうか。49,350円でリーズナブルな価格だと思います。



――作るための工具などは要らないのでしょうか。



大和代表取締役 ドライバーがあれば大丈夫です。ただハードだけ組みあげても動きません。ソフトを作ってやらないといけませんのでパソコン(Windowsマシン)が必要です。手足を動かしたりするモーションはフローチャート形式で簡単にできますので、楽しんでいただけると思います。



■これからのロボットホビーの世界はどうなる!?



――これからの「ロボットホビー」はどうなっていくと思われますか?



大和代表取締役 2つの方向性があると思います。1つはより自律化していく方向。つまりロボットが自分で判断して自分で動く。そうなると人間がやることはあまりないんですが、そのソフトを作り進化させていく方向ですね。それを趣味とする方向。もう1つはレギュレーションがしっかり決められた中で作られたロボットを「操縦すること」に楽しみを見いだす方向。クルマもそうだと思うんですが、クルマが勝手に自分で走りだしたら人間はちっとも面白くないと思うんですよ。『リアルスティール』っていう映画があったじゃないですか。



――近未来にロボット同士の格闘が興業になっている世界の話ですね。



大和代表取締役 あれは1つのロボット趣味の到達点だと思いますね。レギュレーションがしっかりしている中での技量の競い合い、これが達成されると趣味としてのロボットはまたもう一段階上のステージに上がるような気がします。



ロボコンばかり見ていたらホビーとしてのロボットの発展を見失うということが取材によってよくわかりました。大和代表取締役のお話によれば、最近ではホビーロボットの世界に入門する女性も増えているようです。あなたものぞいてみませんか?





(高橋モータース@dcp)





*……『ロボカップ』は人工知能、ロボット工学の発展のために提唱され、運営されているロボットの祭典。2050年に「自立型ロボットのチームを作って、世界チャンピオンチームにサッカーで勝利すること」を目標としている。そのため、年に2回ずつロボットの大会が開かれている。詳細は公式ホームページを参照のこと。



ヴイストン株式会社のサイト

http://www.vstone.co.jp/







ロボカップ日本委員会公式ホームページ

http://www.robocup.or.jp/