転機を逃さず、好機を掴むには?

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■横田尚哉さんからのアドバイス

チャンスを逃す人と、そうでない人の違いはどこにあるのか。私はファンクションを理解しているかどうかの差だと思います。「これは誰のためか」「何のためか」というファンクションを理解している人は、形にこだわりがなく、目的に合うチャンスが訪れたときに躊躇なく、いまの形を手放すことができます。

一方、ファンクションが見えていない人は形に依存しているため、チャンスが訪れても変化を恐れて現状にしがみついてしまう。形に執着するかどうか。その差が転機において明暗を分けるのです。

自分を突き動かすエネルギーというのは、何かを手放した瞬間に発生します。例えば新しいビジネスを始める場合も、会社勤めのままでは本気になれないはず。会社に守られた立場をいったん手放してこそ、次の仕事にかけるエネルギーが湧いてくるはずです。

ただし、とにかく手放せばいいと考えるのは早計です。大切なのは普段から思考を深め、手放すのに相応しいタイミングを図ること。無計画で手放すと、せっかく発生したエネルギーの活かしどころがなく、何のために形を手放したのかわからなくなります。

そこで意識したいのが時間の使い方です。日々の仕事に追われて、「情報入力→処理→保管」というプロセスを繰り返すだけで時間を浪費していく人がとても多い。しかし、保管の作業には何の生産性もなく、情報が増えるほど管理の手間が増し、余計に忙しくなるだけです。

ビジネスマンに必要なのは「情報入力→処理→思考」というプロセスです。思考の時間を日常的に確保してこそ、自分の人生のファンクションや、行動を起こすタイミングについて考えを深めることができるのです。

■佐藤孝幸さんからのアドバイス

資格試験に挑戦するとき、私はどんなに難しい資格も2年以内に取得すると決めていました。幸い司法試験も2年目で合格しましたが、もし落ちていたら、そこで断念していたと思います。

なぜ2年で区切るのか。人間が支払うコストのうち、もっとも高くつくのは時間だからです。資格取得によって金銭的なリターンを得ても、時間に換算すると、回収できるのはせいぜい2年間分。資格取得にそれ以上の時間を費やしても損するだけです。また、2年かけても取得できない資格は、最初から適性がないと考えたほうがいい。適性のない資格に固執するより、別のことに時間を投資したほうが人生のチャンスは広がるはずです。

ところが時間を“損切り”できず、チャンスを見逃してしまう人が少なくありません。株式投資では、保有株の株価が下がったときに損を承知で売ることを損切りと呼びます。損を確定させるのはもったいない気がしますが、そこが落とし穴。下がり続ける株に固執するより、見切りをつけて他の有望株に資金を移したほうが、トータルで儲かる可能性が高い。

これは時間も同じです。一定の時間を超えたら、躊躇せずに損切りして時間を他のものに投資すべきです。目標に向けて費やした時間は、一種のサンクコスト(埋没費用)です。サンクコストとは、事業に投資した資金のうち、撤退しても回収できない資金を指します。

本来、未来の利益を最大化するためには、サンクコストを無視したうえで、事業継続か撤退かの意思決定をする必要があります。ところが人間の心理は不思議で、サンクコストが大きくなるほど、それを無視できなくなって非合理的な判断を下します。

時間についても、同じ罠にとらわれがち。あとから「あそこでやめておけばよかった」と後悔しないためにも、深入りする前に時間を損切りする習慣を身につけてください。

(村上 敬=文 相澤 正、久間昌史=撮影)