滋賀県大津市のいじめ自殺事件に端を発し、全国各地で同様の問題が繰り返されていることが明らかになりました。自分の命を絶つことでいじめから逃れることを選んだ少年、少女たち。そして、それらを隠ぺいしようとする学校や教育委員会。悲惨な現状に言葉を失うほどですが、どうしてこのような悲劇はなくならないのでしょうか。

 教育評論家の森口朗氏は、『いじめの構造』の中で、暴言よりひどい「いじめ妄言」が教室でまかりとおっている現実を記しています。ひとつを例に挙げれば、「見て見ぬふりをする者も加害者」という言葉です。いじめを発見したクラスメイトに、親や交通事故の加害者のような作為義務はないといいます。また、クラスメイトとはたまたま同じクラスになっただけの人間。だから、「『いじめを発見した際にはなんらかの行動をする』義務を課すのはナンセンス」だとも森口氏は断言します。

 結局、「見て見ぬふりをする者も加害者」論は、いじめを見抜けなかった教師が非難されるのを防ぐだけ。もし無理していじめを止めに入ったら、その生徒は「高確率でいじめ被害者になるでしょう」と断じ、この論理の残酷さを指摘します。加害者の次に非難されるべき人間は、いじめに気づかなかった教師なのです。

 ベネッセの教育情報サイトが2012年9月16日に公開した記事によると、東京都教育委員会が2011に調査を実施した際、小学校や中学校に前年より多くの教員を配置したことによって、生活指導上の問題行動が減少したり、学級崩壊の発生割合が減少するという結果が出たそうです。これは、いじめ対策にも効果的な措置ということができるでしょう。

 学校問題は社会問題の縮図でもあります。今の子どもたちの状況に、自分たちの時代との違いをなんとなく感じたら、現代の教育現場を知ってみましょう。

【関連リンク】
Benesse(ベネッセ)教育情報サイト ヘッドライン
「教員増がいじめ、不登校、学級崩壊に効果あり 都教委調査結果」
http://benesse.jp/news/kyouiku/trend/20120916100042.html



『いじめの構造 (新潮新書)』
 著者:森口 朗
 出版社:新潮社
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