消費増税に備える! 柳澤美由紀の”生活防衛術” (11) 学生と親御さんは必読! 国民年金の”学生納付特例”は申請しておくべき?

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国民年金は日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人に加入が義務付けられている公的な年金制度です。

20歳以上の学生は収入のある、なしにかかわらず、第1号被保険者として月1万4980円(平成24年度)をせっせと払わなければいけなくなっています。

「学費の支払いで大変なときにやってられない!」と、20歳の誕生日の前月に送られてくる「国民年金資格取得届」を無視する家庭も少なくないようですが、ちょっと待って! 学生本人の前年所得(1〜3月に申請するときは前々年の所得)が基準以下であれば、「学生納付特例制度」が利用できます。

(1)保険料を納める、(2)何の手続きもせず保険料を納めない(未納)、(3)「学生納付特例制度」を利用して保険料を納めない、の3パターンで、”一番お得な選択”はどれかを検証してみましょう。

「学生納付特例制度」とは、20歳以上の学生(大学、大学院、短期大学、高等学校、高等専門学校、専修学校、各種学校、一部の海外大学の日本分校に在学する学生で 、夜間・定時制課程や通信課程含む)で、学生本人の前年の所得が「118万円+扶養親族の数×38万円」以下であれば、在学期間中の保険料を社会に出てから後払い(猶予)できる制度です。

たとえば、大学生で扶養親族のいないあなたが居酒屋でアルバイトをしている場合、前年の年収が248万円以下であれば、「前年の所得=248万円−給与所得控除(248万円×30%+18万円)−基礎控除38万円≦118万円」となるので使えます。

一般の保険料免除(全額免除・一部免除)は家族の所得も含めて判定しますが、この制度は本人の所得のみで判定します。

親の所得が高いからといって使えないものではありません。

また、基準以下の所得の学生すべてに自動的に適用されるわけではなく、本人が住民票のある市区町村役所(国民年金保険課)か在学中の大学等の窓口(大学等が学生納付特例事務法人の指定を受けている場合)に届け出なければ使えないことになっています。

「学生納付特例制度」の手続きをしないで保険料を納めない、いわゆる未納(前述の(2))の場合、2つの問題が生じます。

1つは、障害年金(スポーツや不慮の事故などのケガや病気で障害状態になったときにもらえる)と遺族年金(自分が死亡したときに、子のある妻または子に支給される年金)を受けられない可能性が高まる点です。

これらの年金は原則として、初診日のある月の前々月までに年金加入が義務付けられている期間の3分の2以上にわたって保険料を納めなければ支払われません。

スポーツやドライブ中に不慮の事故に遭い、障害を負うことはあります。

学生結婚して子供がいる人もいるでしょう。

平成24年度の障害基礎年金は1級で年98万3100円、2級で年78万6500円です(子のいる場合は加算あり)。

遺族基礎年金は年101万2800円(子1人+妻の場合)になります。

未納のままで放置するというのは、これらの権利を手放す危険性があるということ。

想像以上の大きなリスクです。

2つめは、老後の年金額が減るのはもちろん、老後の年金を受け取る権利が得られない可能性がある点です。

老齢基礎年金を受け取るには原則として保険料の納付済期間等が25年以上必要です。

学生納付特例制度の手続きをすると保険料を納めなくても納付済期間としてカウントしてくれますが、未納の場合、納付済にはなりません。

保険料を払うのが困難であれば、一刻も早く「学生納付特例制度」の手続きをすることです。

この制度により猶予された期間の保険料は10年以内であれば、古い期間から順に納付が可能です。

承認を受けた年度の翌年度から起算して3年度目以降は当時の保険料に一定の金額が加算されるので、社会人になったらできるだけ早く追納するように心がけましょう。

猶予された期間の保険料を納めない場合、それに相当する年金額が減額されます。

たとえば、20歳から2年間、同制度により保険料を納めなかった場合の老齢基礎年金額は年78万6500円の満額に対して、年74万7175円になります(平成24年度価額※その他に未納期間がないものと仮定)。

1年分の年金でみると約4万円の差ですが、10年で約39万円、85歳まで長生きした(年金受給期間20年)とすると、もらえる金額は約79万円違います。

卒業後すぐに2年分の保険料を払った場合の納付総額は約36万円(=1万4980円×12カ月×2年※平成24年度の保険料で計算)なので、74歳まで長生きすれば元がとれたね、ということになります。

追納の効果をどうとらえるかは人によって判断がわかれるところでしょうが、1つ言えるのは、猶予期間が長くなればなるほど、老後の年金は確実に減っていくし、追納負担は確実に重くなります。

親に経済的な余力があるのなら、学生時代の国民年金保険料は親が払ったほうが賢明です。

国民年金保険料をどうしても納められないときの緊急措置として覚えておくとよいですね。