【松岡賢治のマネーtab】消費増税を逆手にとりたい「金積み立て」投資術

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 ここ数年の金価格の上昇により、個人投資家の資産運用の対象として、金の人気が高まっている。特に国内においてはデフレによる超低金利状態に加え、株式市場の低迷が長く続いた結果、資産運用のビギナーでも金投資に興味を持つ人が増えているのだ。そんな状況の中、ここにきて金投資が一段と注目を集めている。理由は、消費増税だ。予定通り、実施されるかは今のところ不透明だが、先の国会で成立した消費増税法案では、2014年4月から8%に、2015年10月から10%に引き上げられることになっている。

 なぜ、消費税増税で金が注目されているのかというと、金は個人が売却する際にも消費税が上乗せされるからである。例えば、現在の消費税5%の時に金を100万円分購入すると、支払う金額は消費税5%を足した105万円になる。そして、金の価格が同じ時に購入した金を売却すると、金地金業者は100万円に同じく消費税5%分を上乗せした105万円で買い取ってくれるのだ。

 では、消費税が5%の時に金を買っておいて、10%に引き上げられた時に売却するとどうなるのか? 105万円で購入した金は110万円で売却できるということになる。つまり、消費税増税分の5万円の利益が出ることになるわけだ。

 実際は、金の購入価格と売却価格には差があり、購入価格の方が売却価格より高く設定されているため、購入した金を価格が同じ日に売却しても損失が出ることになる(※さらに手数料がかかるケースもある)。しかし、その購入価格と売却価格の差は、現在は2%程度なので、5%の開きがあれば利益が出る可能性は非常に高い。そこで、消費増税のタイミングを狙って、金取引をしようと考える人が増えているのだ。

■おすすめは「積立てサービス」

 ただし、増税が決まれば、当然、駆け込み的な需要が急増し、金価格の上昇が予想される。そして、増税実施後は駆け込み需要の反動で、金価格が値下がりする可能性が高い。結局、増税が近い時期に購入してしまうと、増税分の利益が狙い通りゲットできるとは限らないのだ。

 したがって、個人投資家が金投資をする場合、前もってコツコツと金を購入するというのが賢明だろう。具体的には、各種の「積立てサービス」をおすすめしたい。以前から、金地金業者は、個人投資家向けに「純金積立てサービス」を提供してきたが、最近は月1000円から積み立てができるなど、より金投資のハードルが低くなっている。

 例えば、田中貴金属工業の『金定額総合口座』は、毎月最低3000円から1000円単位の積立てが可能で、購入手数料は積立金額に対して2.5%となっている(年会費は1050円)。また『金定額総合口座』とは別に、ネット上で申し込みができる『G&Pプランナー』という純金積み立てもあり、こちらは毎月1000円から1000円単位で積立てが可能だ。ただし、積立金額が1000円〜2000円だと手数料が5%になるなど、積立金額に応じて手数料が変わる点には注意したい。ちなみに、年会費は無料となっている。

 そのほか、三菱マテリアルの『マイ・ゴールドプラン』は毎月3000円から1000円単位の積立てで、購入手数料は積立金額の2.5%となっている。年会費は840円と『金定額総合口座』よりもわずかに安い。また、ネット証券では、唯一、楽天証券が今年5月から純金積み立てを始めている。毎月1000円から1000円単位で積み立て可能で、手数料は一律2.625%。年会費にあたる口座管理料は無料だ。『G&Pプランナー』を含め、ネットで取引ができるサービスの場合、金価格が下がった日に追加で購入できる「スポット購入」が利用できるというメリットがある。

 最後に、金投資で注意すべき点が2つ。1つは、消費税増税の方向は決まったものの、14年からスムーズに増税されるか予断を許さない状況になっていること。だが、今後5年、10年を想定すれば、10%への引き上げは不可避と思われる。場合によっては、15%程度までの引き上げもありうる。

 2つ目は、投資金額。金への投資は資産運用においては、貴金属・商品(コモディティー)分野への投資となるため、多くても資産の10%程度に留めておくのが無難だろう。くれぐれも、資金を集中させないように注意したい。その点でも、金の積立ては月々数千円のレベルが妥当な水準と思われる。なかなかなじみのない金投資だが、今こそじっくり調べてみる価値はありそうだ。

(文/松岡賢治)

マネーライター、ファイナンシャルプランナー/シンクタンク、証券会社のリサーチ部門(債券)を経て、96年に独立。最新刊に『人生を楽しむマネー術』(共編著)。