岡田斗司夫の新理論、「評価経済社会」とは?




経済とは何なのか――。大上段に構えなくとも、あらゆる生活の場に経済は存在しています。私たちは日々、誰かが作ったものを、交換や分配のプロセスを経て消費しています。物々交換も含めた「有形無形のモノを交換する仕組み」が経済なのです。この巨大なシステムがいま、変化の時を迎えようとしています。



■評価が貨幣のように流通する社会



作家の岡田斗司夫氏は著書『評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている』の中で、貨幣経済は縮小して貨幣を媒介しない経済活動が活発になり、評価が通貨のように流通する評価経済社会が訪れると述べています。



私たちの生活にどのような影響があるのか、岡田氏の運営している組織FREEexの担当者・西村洋氏にお話をうかがいました。



――評価が流通するとは、どのようなことでしょうか?



「理解していただきたいのは、評価経済は貨幣経済を否定するものではないということです。コインの表と裏のようなもので、評価があればお金も集まってきます。



例えば、2009年1月、スティーブ・ジョブズ氏は医療休暇を発表した際に、株価が大きく下落しました。その後、無事休暇から戻ると、株価は登り始めました。評価が高いと資本が集まる、これがイメージキャピタル=評価資本を持っているということです。



個人レベルでは、お金をたくさん持っていなくても評価が高ければ、投資=援助が集まって、欲しい物が手に入ったり、やりたいことも実現しやすくなります。



評価や物の流通にネットが大きな役割を果たしています」(西村氏)



――流通するからには、基準が必要なのではないでしょうか?



「それをいま、作っているところです。Twitterのフォロワー数やFacebookなどの数値から算出したクラウトスコアといった形で、評価の数値化が試みられています。企業の評価を数値化して公開する『BUZZDAQ(バズダック)』というサイトがあり、評価のスコア化が進んでいます。評価経済社会はもう始まっているんです」



■「いい人戦略」≠「いい人になる」



――評価を稼ぐためには、どうすればいいでしょうか?



「好かれる人になればいいんです。



『いい人戦略』といって、ささいなことでいいのですが、あいさつをきちんとする、助けてもらったら必ずお礼を言うなど、簡単なことから始めて評価をためていくのです。



企業であれば、社会的に評価される活動をするなどの戦略を取る必要があります」



――評価を稼ぐのが難しい場合はどうなるのでしょうか。誰しもが他人から「いい人」と評価される行動や言動ができるわけではないと思うのですが……。



「誤解してほしくないのは、いい人『戦略』であって、いい人にならなければいけないわけではありません。



私たちは現状、さまざまなコミュニティに所属して、そこでの人格を持っています。あるコミュニティで評価を得るためにした行動でストレスがたまったら、別のコミュニティで発散すればいい。友人や恋人に愚痴を言うとか、息抜きの場所はいろいろあると思います」



――社会福祉はどうでしょうか。評価もお金も稼げない、困窮者に対する救済措置はあるのでしょうか?



「いい人戦略が肝になると思います。現時点で具体的な解決案は出ていませんが、支援団体に評価が集まったり、コミュニティ単位での支援など、救済を必要とする人に手が届きやすくなるという希望はあると思います」



■評価経済社会はすでに始まっている



お話を聞いての結論は、評価経済社会は確かに来ているというものです。ただし別の意味で。



経済が交換の仕組みである以上、評価を前提としています。つまり評価経済社会はずっと続いていて、モノを流通させる媒介物であると同時に資本でもあった貨幣の評価が下がりつつあるいま、新たな局面に進んだといえます。



その意味では『世界の変わり目に立ち会っている』わけで、この面白い時代を生きるガイドとして、岡田氏の著作は非常に興味深いものです。



ちなみに電子書籍も販売されています。



http://p.booklog.jp/book/49788



まさに流通の変革ですね。



(OFFICE-SANGA 服田恵美子)