厚生労働省の推計によると、2010年の時点で認知症患者は226万人で、65歳以上人口の8.1%。研究者によっては、2011年で450万人、65歳以上の15.7%に上ると考えられているそうです。

 自分たちの身に起きるのはまだまだ先のことかもしれませんが、親や祖父母の世代には非常に身近なこと。今から認知症に対する誤解を解き、正しい理解を得ることは、私たちが老いたときにプラスに働くことは間違いありません。

 認知症には、いくつかの特徴的な症状が挙げられます。「同じことを何度も言う」「人の話を聞かない」などはまだ理解しやすいと思いますが、「お金やものを盗まれたと思いこむ」ことは、なぜ起きるのでしょうか。

 『認知症「不可解な行動」には理由がある』の著者で、大阪大学大学院の佐藤眞一教授は、"もの盗られ妄想"が起きるのは、第一に自分の記憶力が悪いことに気づいていないからだといいます。頻繁に「ものがない」という体験をしているものの、記憶と照らし合せて自分の行動を推理することができないので、「財布がない→誰かが盗った」と短絡的に考えるのだそうです。

 自分で探せないなら、家族などに「いっしょに探してくれ」といえばよさそうですが、それもできない。なぜなら、自分がなくしたことを認めるのは自分の非を認め、「自己否定につながる」から。佐藤氏によれば「人は自己を否定しては生きていけませんから、自己否定をしないのはほとんど本能のようなもの」なのだそうです。自分を省みるのではなく、人のせいにしてしまうほうが簡単なわけです。

 同じような理由で、配偶者の「浮気を疑う」という行動が見られることもあるそうで、本書には80歳の夫が、屋根の修理にやってきた40代の工務店勤務の男性と75歳の妻の浮気を疑うという事例も載っています。

 「お金」「浮気」も生々しい妄想なので、介護する人のショックは当然大きいのですが、これが認知症という病の特徴。ますます進む高齢化社会で、認知症の理解を深めることは、私たちが老いても幸せでいるための準備に他ならないのかもしれません。



『認知症 「不可解な行動」には理由がある (ソフトバンク新書)』
 著者:佐藤 眞一
 出版社:ソフトバンククリエイティブ
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