「カズ→中田」のようには行かない……AKB48大島優子や渡辺麻友が、前田敦子になれない理由

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8月29日に発売されたシングル『ギンガムチェック』もミリオンセラーを記録。AKB48は、“絶対的エース”と呼ばれた前田敦子卒業後も、快進撃を続けている。この勢いを持続させるために、必要なことは何か?




この問題を考える際、「カズの外れたW杯日本代表」と「前田敦子の抜けた
AKB48」を比較すると、見えてくることがある。アンチを持つ前田とカズがいなくなったという点で、2つの組織は非常に似ている。だが、重要な部分で大きく異なっているのだ。




98年、フランスW杯直前でカズが外れた後も、国民の日本代表に対する熱狂ぶりは変わらなかった。もちろん、日本人が初体験するW杯という舞台が用意されていたことは大きいし、急成長していく代表チームが希望に満ちあふれていたという要因もある。




だが、カズに代わって、中田英寿というスターの出現が代表人気の原動力となったことも事実である。今のAKB48には、当時の中田のような存在がいるだろうか。




「優子がいるじゃないか!」
「麻里子さまの存在感をナメるな」
「こじはるの安定感を侮るな!」

確かに、大島優子(2期生)も篠田麻里子(1.5期生)も小嶋陽菜(1期生)もAKB48に欠かせない素晴らしいメンバーだ。




しかし、彼女たちは、当時の日本代表で例えれば、ゴン中山や井原正巳といった「ドーハ組」なのだ。ゴンや井原はカズと同世代で、93年W杯予選の最終戦のロスタイムで追いつかれ、アメリカ行きの切符を逃し、ともに涙を流したチームメイトなのである。




同じように、大島や篠田は前田と同じ時代を戦ってきた仲間だ。これは『次世代エース』に目されている渡辺麻友(3期生)とて同じこと。年齢こそ離れているが、前田と同じ時代を戦ってきた中心メンバーであることに変わりはない。だから、彼女たちが『前田の代わりのポジションにつく』ことは考えづらい。




今のAKB48には、前田のようにアンチを持つ可能性を秘め、大島や篠田、渡辺の人気を上回りそうな新星が必要なのである。




当時の日本代表でいえば、上にも喰ってかかる中田英寿のような存在が望まれているのだ。




昨年は横山由依、今年は島崎遥香(ともに9期生)のメディア露出が目立つが、残念ながら、前田敦子を超えるほどの人気は獲得できていない。それどころか、4期生以降で今年の総選挙10位以内に入ったのは、指原莉乃(5期生)のみ。




世代交代がまったく行われていないのである。




この理由は、新たに入ってくるメンバーが「いいコばかり」という側面もあるように思う。芸能人としては、多少『扱いづらい』くらいのほうが伸びしろがある。




沢尻エリカほど破天荒になる必要もないが、「我の強さ」や「扱いづらさ」を持つ人間でなければ、アンチに耐える力もないだろうし、センターを張り続ける精神力も持ち合わせていないはずだ。




AKB48の人気上昇とともに、「前田さんに憧れて」「板野さんのファンで」と言って加入するメンバーが急増した。




もちろん、憧れを抱くのは良いことだし、AKB48を好きでなければ応募しようと思わないだろう。だが、その気持ちを持ち続ける限り、「前田さん」や「板野さん」は超えられない。彼女たちにとって、「前田さん」も「板野さん」も蹴落としていくべきライバルだからだ。




前田敦子はもういない。大島優子も渡辺麻友も、前田敦子にはなりえない。




はたして、次なるスターは出現するのだろうか。 




(岡野 誠)