静岡・河津七滝ループ橋はジェットコースター? ループの謎にせまる

写真拡大

東伊豆河津町(かわづちょう)に突如出現する、独特なデザインの橋・河津七滝ループ橋。

全長は1,064メートル。

ぐるりソフトクリームを描く要領で2回転、直径80メートルのサークルを上下に重ねて描き、高低差45メートルをつないでいる。

それにしても、なぜここにこんなものがあるのか。

説明しよう。

伊豆半島の真ん中には、天城山(あまぎさん)がそびえている。

この山は、天城連山と呼ばれることもある。

つまり、いくつかの山が連なっているのだ。

具体的には1,404メートルの万三郎岳(ばんざぶろうだけ)など、1,000メートルを超える山々の塊である。

この山々を縫い、伊豆半島の真ん中を背骨のように貫いているのが下田海道(国道414号線)。

下田に早く行くために最も使われている幹線道路である。

その下田街道が天城山を越えるところに位置するのが、天城峠だ。

この天城峠は川端康成の「伊豆の踊子」や松本清張の「天城越え」など、小説の舞台にもなっている。

また、石川さゆりの「天城越え」でも歌われているように、かつては交通の難所だった。

小説にも出てくるように、この地には天城山隧道(ずいどう)という古いトンネルがある。

日本最長の石づくりトンネルだ。

明治時代に作られた重要文化財らしい。

このトンネルのさらに下80メートルの地には、1970年に開通した新天城トンネルがある。

天城山隧道を見たい! という目的がない限り、普通はこちらの新しい方のトンネルを通る。

くぐってもまだ標高600メートル。

山に沿ってつづら折れの道が続いていたが、1978年には伊豆大島近海の地震によって、道路が寸断されるというアクシデントが発生している。

天城山中は全国でも有数の多雨地域。

土砂崩れで通行不能になることも珍しくない。

そこで、この国道改良整備工事の一環として1981年、河津七滝ループ橋が作られたのである。

これにより、土砂崩れの影響が少なく、スムーズに登り降りできるようになったという。

直径80メートルというのはなかなか大きな円ゆえ、速度制限30キロで走っても外側に押し付けられる。

何Gかは分からないがすさまじい遠心力。

ジェットコースター的な体感ができる。

このループ橋、正式には七滝(ななだる)高架橋という。

伊豆地方では滝のことを「たる」という。

七滝とは、河津川にある7つの滝を指す。

散策路が整備されてからは、1時間もあれば7つ全てを巡ることができるようになった。

初景(しょうけい)滝、へび滝、釜滝、えび滝、かに滝、出合(であい)滝、大滝の順番で回るのが通常ルートで、一番立派なのが大滝だ。

高さ30メートル。

滝壺の横、しぶきが掛かるような場所には古くから露天風呂があり、その奥には岩盤を掘り抜いた洞窟温泉がある。

なかなか野性的な観光スポットだ。

さらにループ橋を超えると、河津温泉。

正式には河津温泉郷といわれたりもするように、七滝・大滝温泉、湯ヶ野温泉など7つの温泉からなる街が現れる。

圧巻は峰温泉の「東洋一の大噴湯(だいふんとう)」。

毎分600リットル、100℃の温泉がいつでも噴き上げている自噴泉(じふんせん)である。

現在では峰温泉大噴湯公園として整備されており、足湯もある。

火・金を除く毎日、1日7回、約30メートルまで吹き上がる湯を見ることができる。

河津ループ橋を通過するだけで、ここに立ち寄らないのはもったいない。

近くを通る際にはぜひ、訪れてほしい。